見出し画像

『目的思考』の事例

■『目的思考』の5つのステップ
 下記の記事で「目的思考」の5つのステップについてお話をしました。今回は5つのステップのイメージを持っていいただくために、具体事例について、お話したいと思います。

『目的思考』になる5ステップ(クリックすると記事を読めます)

 「目的思考」の5つのステップについては、上記の記事に詳しく記載れていますが、少しだけ説明をさせていただきます。5つのステップの目的は、「目的思考」にいたるためのステップのことです。各ステップは下記の通りです。

①仕事を頼まれた理由を考える
②相手視点でゴールを考える
③ゴール達成のための手順を考える
④すぐ実行する
⑤手順を見直す

 このステップを理解しやすいように具体事例を用いてご説明したと思います。事例として、上司から「プロジェクトの報告書を作成する」という仕事を依頼された場面を取り上げたいと思います。

■5ステップの具体事例
①仕事を頼まれた理由を考える

 まず、初めのステップは、仕事を依頼された理由を考えるということです。上司は、なぜ「プロジェクトの報告を作成する」という仕事を依頼したのでしょうか?上司は、プロジェクトの報告書を使って何をしたいと思っているのでしょうか?この理由を考えるのが最初のステップです。実際の仕事の環境では色々な理由があると思いますが、今回のケースでは、「上司は、プロジェクトの詳細を把握していない役員に向けて、10分で分かりやすく報告したい。」ということが仕事を頼んだ理由だったとしてみましょう。
 実際に、仕事を依頼された理由を把握するためには、報告書は何のために使用するのかということを上司に確認する必要があります。事細かに聞くと、お互いに時間がかかってしまいますので、「役員向けの報告資料ですか?」、「誰向けの報告資料ですか?」、「報告の時間は何分くらいですか?」みたいな質問をサラッとすることが効果的だと思います。そうすることで、仕事を依頼してきた相手は何を求めているのかということが理解できます。

②相手視点でゴールを考える
 そして、仕事を依頼された理由が分かった後には、相手視点でゴールを描くことが必要です。何を提供すれば、相手が仕事を依頼してきた理由を満足させることができるのかを考えることが必要です。今回の仕事を依頼した理由というのは、「上司が、プロジェクトの詳細を把握していない役員に向けて、10分で分かりやすく報告したい。」というものでした。この期待を満たすためには、何が必要なのかを考えることが必要です。この期待を踏まえると相手視点のゴールは、「上司がプロジェクトの状況を理解していない役員向けに状況を簡潔に伝えるための報告書を作成する事」となります。

③ゴール達成のための手順を考える
 真の目的が明らかになれば、ゴールに達成するためのステップを考えることが重要です。ステップを考える時には、いかにすればゴールを速やかに効率的に達成できるのかを考えることが重要です。特に仕事では相手の期待を満たすことが必要なので、いかにすれば相手の期待を満たせられるのかを考えることが求められます。そのためには、報告書であればレビューしてもらう必要があります。しかし、レビューや質問などをする時間をあまり長くしてしまうことは得策ではありません。上司のレビュー時間が長くなりすぎると、部下に仕事を頼む意味が薄れ、上司が自分でやれば良いという風に感じてしまうからです。
 レビューを効率的に進めるポイントというのは、資料のドラフトを素早く作って、早いタイミングでレビューをしてもらうということです。しかも、作業の無駄が発生しないように、こまめに作業を進めていくことがポイントなります。今回のケースでは下記のようなステップを踏むことが効率的かもしれません。
 

手順1:資料の構成案を作成する(本日午前)
手順2:資料の構成を上司に確認し、必要応じて修正(本日午後)
手順3:構成案に沿って、資料をドラフト(明日午前)
手順4:上司にドラフトのレビューをしてもらう(明日午後)
手順5:資料を最終化する(明後日)

 資料をいきなり作らずに、まずは資料の構成案を作って、構成案に認識にずれが無いかを確認するというのは重要なステップです。そうすることで、ゴールのイメージが上司と部下の間でより明確になり、アウトプットのイメージがしやすくなります。そのことで、手戻りが少なります。そして、構成案が決まれば、手順3で資料を具体的にドラフトします。この時にも、レビューのタイミングを見据えてドラフトを作ることが求められます。ドラフトを作れば、レビューをしてもらい、最終化するという手順を踏んで報告書が完成します。
 
④すぐ実行する
 4つ目のステップは、すぐに実行するというものです。手順を描けたら、すぐに実行します。すぐに実行移すことで、今回のケースでいえば手順2のところの構成案のレビューを早いタイミングでもらうことも可能になります。早いタイミングでレビューをもらえば、認識にずれがあれば余裕をもって、修正することも可能になります。

⑤手順を見直す
 実行をしてみて、特に問題が無ければ、手順の通りに進めていけばよいと思います。逆に修正が必要な場合には、手順の見直しをします。今回のケースでいれば、思ったよりもドラフトの作成に時間がかかりそうということが分かったとします。その場合には、手順4のレビューのタイミングを後ろ出すことなどを検討します。手順を見直すときには、仕事の最終的な納期や品質に影響がでないように見直しをしていきます。

 以上が、「目的思考」に至るための5つのステップの具体例となります。相手目線の真の目的と、相手目線の仕事の進め方というのが「目的思考」のカギになっていることがお分かりいただけましょうか。

(第45回 2022/2/1)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?