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組織の目標設定:OKR

■組織における目標設定とは?
 組織において、目標の設定は大切です。目標を設定することで、はじめて組織の活動が適切に行われているかを測ることができます。また、適切に目標を設定することで組織の活動を向かうべき方向に向けることができます。組織における目標設定は、いくつかの考え方があります。今回は、最近注目を集めているOKRについてご紹介をしたいと思います。
 
■OKRとは
 OKRとは「Objectives and Key Results」の略語です。日本語では、「目標と主要成果」と訳すことができます。OKRは、米国のインテル社で誕生して、Google社なども取り入れていると言われている評価指標です。OKRの特徴は、「Objective(目標)」とその目標を達成するための「Key Result(主要成果)」を複数設定することです。更に、下記の図のように会社の「Key Result(主要成果)」が部門の「Objective(目標)」となり、部門の「Key Result(主要成果)」が個人の「Objective(目標)」へと整合が取れるように設定していきます。こうすることで、それぞれの活動を「Objective(目標)」に結びつけることができるため、会社、部門、個人が目指すべき方向性が一致します。
 

OKRのイメージ


■OKRの設定方法
 次にOKRの設定方法について考えていきたいと思います。はじめに「Objective(目標)」を設定します。「Objective(目標)」するときには、次のような点を押さえると良いとされています。
 
・定性的な目標(数字などは使わない)
・四半期(3ヶ月程度)で達成できる目標
・実現不可能ではないが、簡単には達成できない目標
 
 組織のモチベーションを上げるような目標であり、且つ3ヶ月程普度で達成可能な目標であることが望ましいとされています。
 
「Objective(目標)」を設定した後は、「Key Result(主要成果)」を設定していきます。「Key Result(主要成果)」は、一つの「Objective(目標)」に対して、2~5個程度を設定することが良いとされています。また、「Key Result(主要成果)」を設定するときにはSMARTを意識すると良い指標になります。
 
【SMARTの観点】
Specific(具体的に)
明確で具体的に記述し誰が見てみても分かりやすい表現であること。
 
Measurable(測定可能な)
指標の達成度合いが分かりやすいこと。「Key Result(主要成果)」としては定量的であることが望ましいとされてます。
 
Achievable(達成可能な)
達成可能な指標であること。
 
Related(Objective(目標)に関連した)
OKRのコンセプトでもあるObjective(目標)に関連した指標となっていることが望ましいです。
 
Time-bound(期限がある)
指標には期限を設けておくこと。
 
このようにOKRの「Key Result(主要成果)」はSMARTの中でも特に、定量的であることや、Objective(目標)との関連性を意識することで良い指標になると思います。
 
■OKRとKPIの違い
 組織の目標として広く知られているKPIとOKRの違いについて、触れておきたいと思います。OKRは全社の目標と整合性を取る形で作成されていきます。それに対して、KPIは、一つの取り組みなどに対する定量的な目標となっています。また、従来のKPIと比較するとOKRは組織のモチベーションが上がるような定性的な目標を達成することに主眼が置かれています。結果として、OKRはKPIよりも組織全体で目標へと向かうドライビングフォースになりやすいと思います。また、OKRが4半期で目標を見直していくのに対して、KPIは通期の目標となっており、期間も異なります。
 
 ここからは、所感となりますが、OKRを導入にするためにネックとなるのは、全社の目標から部門、個人へと目標を落とし込んでいくということです。なぜなら、全社、部門、個人へと目標を落とし込むのは、かなりパワーが必要だからです。ですから、ある程度トップダウンのアプローチで推し進めていく必要があると感じます。更に、OKRの目標期間が四半期となっていますので、三ヵ月ごとに目標の達成度合いを測定して、次の四半期に向けて見直しをしないといけないということになります。このことは、新しい比較的に規模の小さな会社であれば、トップダウンの意思決定で推し進めることは可能かもしれません。しかし、規模の大きな会社によっては管理コストが高まり、導入を難しくさせる要因になるのではないでしょうか。
 
 ですから、OKRを導入する場合には、OKRのコンセプトをそのまま適用するのではなく、自社や自組織に適した形で導入していくのが良いのかもしれません。ターゲット期間を4半期ではなくて、半期や通期にすることや、全社から落とし込むのではなく、部門から始めてみるなどで試運転をしつつ、導入を検討することが現実的なのではないでしょうか。
 
(第59回 2022/5/10)

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