見出し画像

話が伝わらない原因と対策

■話が伝わらない原因
 仕事をしていると、話が伝わらなくて困ってしまうことがあります。話が伝わらない原因というのはいろいろあります。しかし突き詰めていくと、自分と相手は違う人間だという前提で話をしていないからです。つまり、自分が当たり前だと思っていることや、理解して欲しいことというのは、相手にとっては当たり前のことではないですし、理解がしやすいことでもないのです。この前提を理解せずにコミュニケーションしてしまうと、自分が思っていたような反応を相手から得られずに落胆してしまうという結果になります。こういう結果になりやすいのは、部下と上司の会話、他部門とのコミュニケーション、外国の人とのコミュニケーションなどにおいて起こりやすいです。これはお互いに、 当たり前だと考えている常識や持っている情報が大きく異なる場合が多いからです。

 この事を分かりやすく説明している考え方が、上記チャートの認知/行動ループというものです。 相手の行動があり、それに対する自分の認知があります。そして自分の認知に基づいて自分が行動を起こします。自分が行動を起こした結果が相手に認知され、相手が行動を起こすというループになります。そして、この認知/行動ループにおいて大切なのは、 相手の認知や相手の行動というのは、上記チャートのグレーの部分のように自分から見えていない部分があるということです。それだけではなくて自分の行動すら、相手にとってどう見えているかは、自分からは分からないということです。ですから、自分の認知が全てだという立場で、コミュニケーションしてしまうと、自分からは見えていない部分があるということに気がつかずに、話が上手く伝わらなくなってしまうのです。

画像1

■話を伝えるための対策
 それでは話を伝えるためには何をすればいいのでしょうか?話を伝えるようにするためには、自分から見えない部分があるということを把握して、見えない部分をなるべく理解するように心がけながらコミュニケーションをとるということが重要になります。 その時に認知/行動ループの考え方が参考になりますので、例を用いて考えていきたいと思います。

画像2

 例えば、上司とのコミュニケーションの場面を想像してみましょう。上司から「君は何も仕事をしていないね」というようなことを言われたとします。そうすると、言われた方は、「あれもこれも色々とやっているのになんで理解してくれないのだろう」というふうに感じると思います。その状態のままで上司に対して、「なんで理解してくれないのですか?」というように詰め寄ったり、あるいは拗ねてしまってコミュニケーションを放棄したりすると、上司の側は、説明が下手だとか、感情的になる人物だという評価をしてしまいます。そのような上司の認識に基づいて、上司の行動がなされますので、悪循環のループにはまっていくということになります。

 ですから、自分が思いもよらないような「相手の行動」を受けた時には、一旦立ち止まって考えることが重要です。この認知/行動ループを使って、相手の言動と、自分の認知を整理して、そして相手は何故そういう言動を取ったのかということを理解した上で、 対策を練るということが重要です。

 今回の例であれば、 上司は自分の仕事の全体像を理解しきれていないという可能性があります。現場において細々といろんな仕事があって、それに対応することも必要であったということを理解してもらう必要があるのです。そのためには、自分がどういう仕事をしていて、どういうスケジュール感で進めようとしているのか、というところを上司に理解してもらう必要があります。このように考えていくと、感情的にならずに論理的に何をやるべきことが見えてくると思います。

 コミュニケーションに行き詰まっている時には、認知/行動ループに書き出してみて、客観的に対策を練ってみると、解決の糸口が見つかるかもしれません。また、書かないとしても、自分には相手の認知や、自分や相手の行動の一部が見えていないということを理解したうえでコミュニケーションをすると、話の伝わりやすさが全然違うと思います。

(第20回 2021/8/3)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?