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在宅医療TIPs 在宅輸血 Vol.1 自宅で輸血ができる?

エール在宅診療所院長の青木です。開業して1ヶ月が経過しました。おかげさまで患者様もご紹介があり少しずつ診療が増えてきて嬉しい限りです。
さてこの1ヶ月で早速色々な経験をさせていただいています。
これまであまり機会がなかったのですが、今回自宅で輸血を行いました。

患者は癌の骨転移で貧血が進んでしまっている方です。
癌患者さんの終末期では多くの方が貧血になります。
これは癌からの出血や栄養状態の悪化など様々な要因があるのですが、特に多くの骨に転移をしてしまうと骨の造血機能が低下して貧血は進行します。また、最近は高齢者の血液疾患も増えています。
結果として、在宅での輸血のニーズが増えており、少しずつではありますが在宅輸血の体制が整いつつあります。

さて当院では在宅で輸血をするにあたり次のような制限を設けています。
・輸血により改善する自覚症状がはっきりしている
・3ヶ月以上の予後が期待できる
・輸血中に見守が可能(家族もしくは訪問看護)

輸血は貧血に対して非常に有効な治療の一方で、献血で成り立っていますので限られた資源を適切に使用する必要があります。また、在宅医療はあくまでQOL(生活の質)を維持することがメインですので、緊急で輸血は行っていません。
輸血に伴う有害事象が起きた際のバックアップ体制もまだ不十分と言わざるを得ません。

これから地域の医療機関と連携を深め、在宅輸血の体制を築けていければと思います。

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