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在宅医の思うところ 在宅医療での医療材料について

みなさん怪我をしたりされたときは絆創膏を貼ったり、消毒したりしますよね。怪我の具合によってはクリニックや病院を受診されて処置をしてもらうと思います。
在宅療養されている患者さんは寝たきりの方も多く、いろいろな医療材料がかかります。
例を挙げると以下のようなものです。
褥瘡の処置のためのガーゼや軟膏
吸引のためのチューブ
栄養投与のためのボトルやチューブ、シリンジ
手袋
おむつ
口腔内洗浄用のスポンジ

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さてこれらの物品を全て購入するとなるとそれなりの費用になります。おむつなどは区から助成が出たり、ガーゼなど医療機関で補充してもらえるものもあります。

訪問診療を受けられている患者さんは在宅時医学総合管理料という管理料が算定されています。これは在宅に係るさまざまな管理に関してまとめて医療費を申請して良いという仕組みです。ですので、処置に必要な物品はある程度医療機関が補充しなければなりません。
これらに関しては厚労省から下記の通知が出ています。

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在宅医療に係る衛生材料等の取扱いについて

標記については、「診療報酬点数表(平成6年3月厚生省告示第54号)及び老人診療報 酬点数表(平成6年3月厚生省告示第72号)の一部改正に伴う実施上の留意事項について」 (保医発第0308001号)及び「保険医療機関等において患者から求めることができる 実費について」(平成12年11月10日保険発第186号)により取扱われているところ であるが、今般、下記について関係者に対し改めて周知徹底を図られたい。

在宅療養指導管理料は必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に 算定することとなっており、保険医療機関は訪問看護ステーションとの連携等により在宅 医療に必要な衛生材料等の量の把握に努め、十分な量の衛生材料等を支給すること。

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しかし、必要な材料がなんなのか、またどの程度必要なのかは医療機関に任せられているため、全て患者さんに購入をお願いしているクリニックもあれば、湯水のごとくお渡ししてしまっているクリニックもあるようです。

このような制度ですと医療機関の負担になるだけでなく、一部では患者さんの負担やそれを指示する訪問看護師などの精神的負担なども大きくなってしまいます。一部材料は特定保険材料として請求できるのですが、それに該当しないものに関しては必要な材料を明確にし、使ったものに対してきちんと請求できる仕組みが必要だなと思います。

さて当院ですが、当院では以下のようにルールを決めて医療材料を供給させていただいています。

褥瘡などの処置が必要な方

必要なガーゼと保護フィルム、テープ    

痰の吸引が必要な方

吸引チューブ 月10本           

経管栄養を行っている方

栄養ボトル 1本             

栄養チューブ、カテーテルチップ 月に各2本

それ以外にも点滴が必要な場合の物品や尿道カテーテルなど、必要な物品は基本的にクリニックで用意します。

一方で、どうしてもこのメーカーのものが良いなど、個人の希望による場合や過剰に物品を使用する場合は個人の負担でご購入いただいています。

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