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自分の年金見込額はスマホやPCで試算できる

自分は将来どれくらいの年金がもらえるのか、だれもが気になるところです。
50歳以上になると、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」に、年金の受給見込額が記載されています。
ただし、現在の年金保険料を60歳になるまで納付した場合の見込額です。
したがって、役職定年や早期退職などで収入が減る場合には、実際の受給金額は見込額よりも減ります。
 
年金見込額試算は、電話(ねんきんダイヤル)でも受け付けていますが、郵送で回答が送られてくるまで3週間程度かかります。
電子申請もできますが、あらかじめ公的個人認証サービス等の電子証明書を取得する必要があります。さらに、郵送で回答が送られてくるまで1週間程度かかります。
年金事務所等の窓口でも回答してもらえますが、わざわざ出向くのも面倒です。
 
パソコンやスマートフォンでいつでもどこでも試算できるツールが2つあります。
「ねんきんネット」と「公的年金シミュレーター」です。
それぞれの試算方法と相違点などについてお話しします。


1 「ねんきんネット」による試算


「ねんきんネット」は、日本年金機構が提供するウェブサービスです。
年金額を試算する方法はつぎのとおりです。

(1)「ねんきんネット」に登録
まず、「ねんきんネット」の利用には登録が必要です。登録方法は2通りあります。
 
①マイナポータルとの連携
マイナポータルを利用して登録します。
 
②ユーザIDの取得
日本年金機構からユーザIDを取得して登録します。

(2)ログイン
登録が完了したら、「ねんきんネット」にログインします。

(3)年金見込額の試算
ログイン後、つぎの手順で年金見込額を試算します。
 
まずトップページから「将来の年金額を試算する」をクリックします。
「かんたん試算」と「詳細な条件で試算」の2つの試算方法が選べます。
 
①かんたん試算
現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して、素早く見込額を試算します。
「かんたん試算」ボタンをクリックし、表示された条件を確認して「試算する」ボタンをクリックします。
 
②詳細な条件で試算
今後の働き方や受給開始年齢、未納分の納付など、詳細な条件を設定して試算します。
「詳細な条件で試算」ボタンをクリックし、必要な情報を入力して「試算する」ボタンをクリックします。

(4)試算結果の確認
試算結果が表示されます。
結果はグラフや表で視覚的に確認でき、必要に応じて修正や保存が可能です。

2 「公的年金シミュレーター」による試算


(1)特徴
「公的年金シミュレーター」は、厚生労働省が提供するツールで、つぎのような特徴があります。
 
①簡単な操作性
IDやパスワードは不要で、すぐに試算を始められます。
「ねんきん定期便」に記載されている二次元コードを利用すると、入力がスムーズになります。
 
②視覚的な表示
年金額をグラフにより一目で確認できます。
 
③安全なデータ管理
個人情報は記録・保存されず、安心して利用できます。
 
④ライフプランに対応
働き方や暮らし方の変化に応じて、将来の年金額を試算できます。
 
ただし、実際の年金額とは必ずしも一致しないため、より正確な年金見込額を試算するには、「ねんきんネット」を利用することが推奨されています
 
(2)使い方
「公的年金シミュレーター」の使い方は、つぎのとおりです。
 
①準備
スマートフォンまたはパソコンと、最新の「ねんきん定期便」を手元に用意します。
 
②基本情報の入力
 
㋐生年月日を入力します。
 
㋑今後の年収や就労完了年齢、年金の受取開始時期などを入力します。
年金の受取時期は60~75歳から選択でき、繰上げ・繰下げによる減額・増額を反映できます。
 
㋒これまでの働き方(自営業・フリーランス、会社員・公務員など)とその期間、年収などを入力します。
スマートフォンで「ねんきん定期便」に印字されている「年金見込額試算用二次元コード」を読み取れば入力しなくてすみます。
 
なお、働き方と年収は複数入力できます。
ある年齢まで会社員として働き、以降は自営業となって収入が変わる場合などにも対応できます。
 
③試算
「試算する」ボタンをクリックします。
 
④結果の確認
試算結果が表示されます。
結果はグラフで視覚的に確認できます。
必要に応じて、試算結果をCSVファイルとして保存できます。
 
(3)試算できることと試算できないこと

①試算できること
 
㋐老後の年金額
将来受給可能な老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み額を試算できます。
 
㋑在職老齢年金
在職中の年金受給者に対する年金額の調整(在職支給停止分を除いた調整後の年金見込み額)を試算できます。
 
㋒退職時改定
退職時に年金額がどのように変わるかを試算できます。
 
㋓共済組合期間
過去の共済組合加入期間を考慮した年金見込み額を試算できます。
 
②試算できないこと
 
㋐特別支給の老齢厚生年金
65歳前から支給される特別支給の老齢厚生年金の試算には対応していません。
 
㋑加給年金・振替加算
加給年金や振替加算の試算はできません。
 
㋒基金代行部分
厚生年金基金の代行部分は考慮されず、一般の厚生年金期間として計算されます。
 
㋓船員・坑内員期間
過去の船員や坑内員期間は試算に含まれません。
 
㋔DB、DC、iDeCoなどの3階部分
公的年金のみが対象で、企業年金や個人型確定拠出年金(iDeCo)などの試算はできません。
 
㋕遺族年金や障害年金
遺族年金や障害年金のシミュレーションはできません。

3 「ねんきんネット」と「公的年金シミュレーター」の相違点


「公的年金シミュレーター」は簡易に年金額を試算するためのツールです。
一方、「ねんきんネット」は詳細な年金情報を提供するためのツールです。
相違点を簡単にまとめるとつぎの表のとおりです。
どちらを利用するかは、目的や必要な情報の詳細度合に応じて選ぶとよいでしょう。 


  
 
老後の資金に不安をもっている方は少なくありません。
「ねんきんネット」や「公的年金シミュレーター」を活用して、自分がもらえる年金がどれくらいなのか確認するとよいでしょう。

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