脳出血~おとなと子どもの違い~

息子は14歳で最初の脳出血を経験した。最初は微量出血で入院。

入院中に点滴が嫌で興奮して大出血。あの世に行きかけた。これが2回目

何とか回復して3か月過ぎて、ガンマナイフを受けた後に再出血。これが3回目そして入院。退院が見えたころ食事をして再出血。

この中学1年生から2年生の間に4回の脳出血を起こしたのである。

彼は記憶があいまいだという。

そうだよね。大変な時の記憶はないわけだ。

出血の場所にもよるのだが、息子は脳の中央。脳室に近いところでの大出血だったためか、ほとんど身体的影響はなかった。これが右に1㎜広がっていらた左麻痺、左に1㎜広がったら右麻痺、前に1㎜広がっていたら記憶障害、後ろに1㎜広がっていたら目が覚めない・・・・と言われた。

脳出血は仮に微量であっても簡単ではない。その組織が壊れることで神経と関連して影響がでる。今回は2ml程度といわれても場所によっては記憶に障害が出るのである。

脳というのはすべてが必要な細胞でできている。活動領域が少ないというけれどそうではない。記憶の領域が一部になっているだけでそれ以外の場所は成長と生命維持、手足を動かしたりする運動関係そして細胞代謝等すべてをつかさどっている。どこか一部ダメージを受けるだけでそれなりの影響はでてくる。ただ、経験から脳細胞の発達も相当のエネルギー活動を持っていて神経細胞は新しくつながっていく事、使えない領域が出来たら新しい領域を再生させる。息子を見ていてそう思った。

子供の脳は限りなく発達段階にあり、少々のダメージならば回復する力の方が勝るのかもしれない。

では大人の場合は?

息子は22歳で5回目の微量出血をした。実にその後半年は記憶がだめだったのだ。覚えられない・・・と苦しんでいた。大人になった脳は、簡単ではないという感じがした。再生能力が落ちているということ。本人が一番感じていた。そして6回目の出血を経験する。

これは大学の試験期間だったため、追試期間で受けたけれど本人曰く全くできなかった。出血後一月たってからのことだった。

彼の出血場所は明らかに記憶などの領域になる。記憶ができないという苦しみと新しいことを覚えていないということが起こっていた。子供の時には気が付かなかった。もちろん中学時代はほぼ1年休んだけれど。

大人の場合は確かに回復が遅いように思う。

では現在はというと、試験も無事通過しなんとかなっている。

本人曰く、「確かに覚えるのに苦労しているかも。」「記憶が飛ぶしなぁ」というけれど、それって出血のせいか???と思うところもある。

ただ、言えることは脳の中はとにかくダメージを受けると再生に向けて活動するということだけは確かなんだと思う。大人と子供の違い・・・

それは本人の気力と意志が大いに影響していると思う。子供のころはわからないから必死に新しいことに取り組める。意識していなくても。でも大人になるとリスクや条件付けなど理由が出てくる。これによって時間がかかるようになるのかもしれない。脳本来の再生力とは別に。

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