4月
英語でApril。ラテン語ではAprilisで、aperire(開く)から派生しているらしい。ギリシャ神話の愛と美の女神である「アフロディテ(Aphrodite)」から来ているという説もある。
草木が芽吹き花開く月、私は退廃的な生活を送っていた。ここに書いた堕落した日々が新年度で疲れている誰かの安心材料になりますように。
別れ
大切な人を失ったらカラフルだったはずの風景が、まるでポラロイド写真のようにモノクロームになってしまった、っていう古いけど色あせない歌があったね。初めて聴いたとき、そんなことあるはずないって思ってたけど本当だった。とてもじゃないけど芸術を嗜む余裕はなかった。
遊びのお誘いは全て来月以降に延期させてもらった。帰宅するとお酒を貪り飲んで、倒れるように布団に飛び込んだ。
一日だけ許された安息日は、ペンを持つどころか布団から這い上がることさえできなかった。料理するのも億劫でパスタばかり食べていた気がする。ゴロゴロしながらアニメや映画を観て、積読を消化して、洋楽を聴きながらうたた寝した。ある意味文化的な生活かもしれない。先月は15分単位でスケジュールを組んでいたのに。
春の日差しよりも新しい環境で奮闘するフレッシャーズが眩しい。そんな一ヶ月だった。
絵画教室、また留年
副業でやっている絵の先生のアルバイト。今年の春に辞めて、イラストレーターとして独立したいと思っていた。しかし、教室のリーダーであり私の恩師でもある先生が亡くなってから状況が一変。事務や大人クラスの指導なども任されるようになって、ますます仕事が増えた。「あなたしかいない」って頼られると嬉しいし、恩師が大切にしていた居場所だから頑張りたい。
接客ハック
クレーマーに遭遇しなくなった。いや、回避している。最近読んだ小説に「お客さんが声を荒げるのは、自分の話を聞いてもらえないこと、気持ちが伝わってないことが悲しいから」と書いてあって、なるほどと感心した。それは可哀想だ。
理不尽なことを言われても「うんうん、わかるよ〜!あなたのその気持ち!」っていったん話を最後まで聞く。「大変申し訳ないのですが〜」ってクッション言葉を必ず挟む。先回りして「ご協力/ご指摘ありがとうございます」って言っちゃう。
お客さんをモンスター化させてるのは自分のせいかも?という意識を忘れないようにしたい。
Aesopの女神
母は私が去年あげたAesopの化粧品を使ってくれている。今年も早めの母の日ということでプレゼントした。
Aesopの店舗に行くのは2回目だけど、前回と同じ店員さんだった。なぜ覚えてるかって??女神のようにキラキラフワフワしたお姉さんだったから!接客業のアフロディテ。肌の悩みや使っている化粧品を丁寧にヒアリングして、心ゆくまでテスターさせてくれた。試供品もたくさんくれた。冷たいハーブティーまで出してくれた。ここまで丁寧なおもてなしを受けると、もはや沼。
自分用にフェイシャルクリームも購入。ゼラニウムの香りを肺いっぱいに吸い込むとオーストラリアが恋しくなる。カラカラになった心まで潤してくれてありがとう、Aesop。
エアマックスココ
自称ミニマリスト、買い物は経験と消耗品だけって決めてるけど、今月は慰めに厚底のサンダルも買ってしまった。これは投資ということにしよう。誕生月だしね。この子とならどこまでも歩いていけそうだ。クッション潰れるまで履き倒したい!
反省会
キュレーターさんから先月の展示の報告が届いた。
すごく細やかで、穏やかで、すさんだ心に沁み渡った。こんなに優しい言葉を受け取ったのは久しぶりで泣きそうになった。私が話したことも覚えてくれていて嬉しかった。
実際にギャラリーに行くと、たしかに私の作品は小さいなと思った。でも、色鉛筆で大きい紙に描くのは膨大な時間がかかり途方に暮れる。キュレーターさんのおっしゃる通り、表現の幅を広げるのも良いかもしれない。
やっとこさ布団からのそのそ出てきて、キャンバスとアクリルガッシュを買った。(Amazonでポチっただけですけど)
現実逃避をやめた
ありがたいことに、毎年6月に地元で開催される展覧会に参加させていただいている。今年は旅行と被ってるしスランプだしパスするつもりだった。実はフィンランドの夏至祭に行きたくて、宿までしっかり抑えていた。
だけど、キュレーターさんのメールを読んで、絵のお披露目のチャンスを捨ててまで慰安旅行に行くのはもったいないと思い始めた。オーストラリアに行けたのは、今まで絵をコツコツ描いて発信していたからだもんね。自分探しの旅に出るくらいなら内省の時間を取るべき。めちゃくちゃ悩んだけどヘルシンキ行きはキャンセルして、展覧会用の絵を描き始めた。(円もよわよわだし泣)
新しいサンダルを連れて行くのはもう少し先になりそう。
再会
パリの音大に通う親友がオーケストラのオーディションを受けるため一時帰国するらしい。「4日の夕方、空いてたりしないかな」と一言だけLINEが届いた。接客業、連休中はフル稼働がデフォなんだけど、奇跡的に4日だけ午後休を取っていた。ほらね、神様ってちゃんと見てるんだよ。その日は、渋谷で待ち合わせして買い物に付き合うことになった。
思えばAesopを愛用するようになったのは、彼女が誕生日にトラベルキットをくれたのがきっかけだった。「接客業だからマウスウォッシュ使うかな」とか「旅行好きだから持ち込みOKサイズが良さそう」とか色々考えてくれたらしい。愛だ〜〜〜!
良き理解者が一人いるだけで、ここまで心って軽やかになるのね。
この一ヶ月は、宇宙に放り出された塵のように当てもなく等速直線運動し、ただ時間だけが過ぎ去った。家と職場をシフト通りに行ったり来たりするだけ。先月まではスペースマウンテンみたいにスリリングだったから物足りなく感じるけど、墜落してないだけ幸いだと思いたい。
6月くらいからまた頑張ればいいや。とりあえず今のうちに布団から脱出して日光浴をしてビタミンDを生成しておこう。バヤコンディオス、4月。
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