結論はない

彼等も人間だから悲しみに暮れる権利は当然の享受であるはずなのに彼等の職はその悲しみに浸るだけの時間さえ十分に持てず仕事がある。ファンは、ファンだからこそ、彼等に「休んでくれ、あなたの健康が1番だ」と言うのが筋なのだろうが、その仕事は皮肉な事にそのファンのためであるという。
ファンとは何なのだろう?ファンは彼らの何を知っているのだろうか。ファンはいつも何を見ているのだろうか。
ファンは所詮ファンであり、且つ至極ファンである。
ファンは彼等の取り繕った虚像を愛していたとしても、彼等が存在してきた証はファンがあってこそ証明されるのである。
人の前に立つ者なら道を逸れるな、真面目であれ、努力しろ_。彼等自身も更に完璧にしていきたい、向上心を持ち続けていく、としばし答える。
なんて生きにくいのだろう。そんな精神を持ち続けるなんて人間として尊敬する。いや、彼等は人間なのだろうか。人間ならもっと落ち度があってもいいのではないか。彼等はもっと泣いて叫んで逃げてもいいのではないか。
アイドルという職が長いと必ず人気の衰退を経験するだろう。「僕はなぜこんなにも自分のことを何も知らないファンの為に生きづらい人生を送ってきたのだろう、自分を閉じ込めてきたのだろう、もう限界だ」と感じてしまうこともあるだろう。それでいい。アイドルを辞めてもいいだろう、悲しむファンもいるだろうが。私だって今大好きな推しが突然アイドルを辞めたら相当悲しい、理性が保てなくて怒るかもしれない、多分何も手に付かないだろう。でも死なない。絶対に死なない。それは彼のことは結局何も知らないから。私だけじゃない、何万何千万ものファン誰もがあなたのことを知らない。だからこそあなたが今の人生に疲れた時はあなたのことを側で大切にしてくれる人を持って欲しい。決して死ぬのではなく。同じまアイドルだからって死に敏感になりすぎでは?と言われそうだがそうではなく(いや実際売れっ子アイドルみんな鬱の経験くらいはあると思う)、あなたが泣いて叫んで逃げて来れる居場所があってほしい。私は今のアイドルでいるあなたが狂うほど大好きであるがいつまでもアイドルでいて欲しいなんて言わない。あなたが自分に嘘をつかず人間として息苦しくない人生を送ることができるなら数年後に芸能界を引退していてもきっと私が寂しく想うだけで済むから。苦しくなったら苦しめる原因からできるだけ遠くに逃げて欲しい。もちろん生きていながら。
でも、強いて欲を言うなら、いや言う、私は人間だから欲を言わせて欲しい。彼にアイドルをできるだけ長く続けて欲しい。もちろん人間らしくいながら。矛盾してるように聞こえるかもしれない。いや実際アイドルと人間らしさの両立は困難かもしれない。アイドルでいる限り真の自由はきっとない。それでも彼がアイドルという職に生きがいを持っているならば、泣いて叫んでたまに逃げて這ってでもアイドルでいて欲しい。彼がアイドルとして失敗してもかっこ悪くてもファンが激減しても私はあなたの姿をずっと見ていたい。生きているあなたを確認していたい。今日のあなたも明日のあなたも見ていたい。もう私は彼を知ってしまったから、彼を忘れることはできないから、彼の人生に私はいなくても、彼は私の人生にいたから。あくまでこれは私の欲だ。
だが今は私の訴えなくても彼等はアイドルでいてくれている。只有難い。彼等は私の見えるところで活躍してくれる。例え親友が亡くなったすぐ後だとしても。それを私はいい加減に休めと言えるだろうか。言えない。アイドルはファンのエゴである。彼等が活動する度に私は感謝をしたい。彼等がどんな状況下だとしても。活動してくれること自体が誇らしい。でも気負わないで欲しい。もっとかっこ悪くてもいい。ダサくていい。1番じゃなくてもいい。全て思うことさらけ出していい。本当のあなたのことを何も知らないファンだとしてもあなたがそれでいいなら頼って欲しい。アイドルとファン、もっと対等でいたい。気づいてあげたい。力になりたい。彼等の支えでありたい。楽しいことも苦しいことも共有して一緒に歩んで生きたい。あわよくば結婚したい。アイドル尊い。

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