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ミャンマー NGOでのインターン

今回は、6月〜8月上旬までのミャンマー現地NGOでのインターンについてのまとめです。現在はミャンマーからイギリスに戻り、大学院の修士論文を9月末の提出に向けて執筆しています。

▼NGOでのインターンについて
ミャンマー滞在中は、現地NGOでインターンを行いました。ミャンマー人スタッフのみで構成された、社会開発プログラムを提供するNGOで、農業、水産業、健康、母子への現金支給プログラムなど様々な事業を行なっています。私は2ヶ月間インターン生として修士論文のテーマであるこんにゃく芋農家の調査やトレーダーへのインタビューをはじめ、新たなプロジェクト作成のための打ち合わせ、基金へのプロポーザル提出のための調査などを行いました。世界各国から集まる専門家と実際に話を進めたり、調査のためのフィールドリサーチに同行したりと、イギリス大学院で学んだことを実際のプロジェクトにいかしていくことができました。

▼こんにゃく栽培の状況
調査地域ではこんにゃく芋が盛んに栽培され、主に中国そして日本に輸出されています。同地域はこれまで換金作物がなく、現金収入の機会は日雇い労働や他地域/国への出稼ぎに限られていましたが、近年こんにゃく芋、アボカド、コーヒーといった換金作物が政府やNGOから奨励され栽培が急速に進んでいます。中でも、こんにゃく芋は需要に伴って多くの農家が栽培し、畑を持っていない人も家の敷地内の庭で育てています。2019年には、3年程かけて成長をした生のこんにゃく芋1つは約130円(2000MMK)ほどで売ることができ、日雇い労働の日当が約350円(5000MMK)であることや、同じく換金作物で丁寧に摘み取らなくてはならないコーヒー果実が1kgあたり150円程度であることを考えると、農家にとってはまさに「金になる芋」であることがわかります。しかしながら、最適な品種の選択や栽培後の加工(切断、乾燥など)や取引方法など、農家が利益を増加するためにできることはまだ多くあります。また、単一作物の過剰生産は、土壌の栄養バランスを崩す、土砂崩れの可能性を高める、価格変動のリスクが高いなどの課題もあります。しかしながら、現在の価格沸騰は農家にとってとても魅力的で、調査では、他の作物の栽培を一切やめてしまったという状況も見られました。持続可能な環境、社会、経済を作っていくには、こんにゃく栽培を中心としつつも、別の投資や多様性のある作物栽培が必要であると考えます。さらに、コーヒーやバナナなどの背の高い木やパイナップル、ドラゴンフルーツなどを一緒に植えることで、環境負荷を下げる必要があります。

NGOのオフィス入り口にて

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▼ネピドーやヤンゴンでの日本関連企業・NGOとの打合せ
さらに、ミャンマー人のみのNGOに日本人の私が関わるということで、ミャンマーで活躍する日本関連企業やNGOとのつながりを増やすこともインターンでの課題のひとつでした。例えば、ミャンマーで活動する日本のNGOと顔合わせを行い、今後の連携について具体的に話をすることができました。首都ネピドーでは、契約栽培を行い、加工(選別/洗浄/冷凍)を行って日本に輸出する工場を見学しました。


首都ネピドーへの出張で訪れたオクラの契約栽培の様子

近所の農家が農業局の支援で設置された集会所にオクラを売りに来ると、近くの野菜加工工場を経営する会社スタッフが買取る仕組み。品質とサイズで値段が決まる。工場で加工(洗浄・カット・冷凍)された野菜たちは日本に輸出され、介護施設などで使われている。

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▼新しいプロジェクト立案
新しいプロジェクトを立ち上げる打合せへの同行、資料作成などを行いました。私が参加したプロジェクトは、海外のNGOと現地NGOであるAYOが協力して一つのプロジェクトを立ち上げていく工程をお手伝いしました。これまでのイギリス大学院での勉強は、開発に関する課題を学び、プロジェクト実施の難しさや実現可能性について文献や授業で学んできましたが、インターンでは、その学びが生かせることもあれば、もどかしく思うこともありました。例えば、「十分な資金がなければ結局、その地域の中でもどの村を支援するのか選ばなくてはならない」ということをプロジェクト計画の中で実感したり、「同じ国内でも暮らしが違う、そしてその違いをインターネット等を通して簡単に感じることができる」ということを最大都市ヤンゴンと地方農村での滞在で強く感じました。

チン州へのフィールドワークの様子

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ミャンマー でのインターンシップで、チン州という美しい山々が残る場所とそこに生きる人々の生活環境の改善のために全力で活動する人たちに出会うことができました。NGOのスタッフとは、夜遅くまで開発について語り合ったり、どのようなプロジェクトが良いのか議論をしたりと、イギリスで学んだ理論から現実のNGO活動にどう活用していくかを学ぶことができ、大変いい経験になりました。残りの論文執筆も頑張っていきたいと思います。

2019.8

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