見出し画像

現地レポ①イギリスの小さな港町が受ける気候変動の影響

専攻は農業農村開発👩‍🌾ですが、1学期は必修の「農業農村開発」と、選択の「気候変動と開発」「調査技法と分析」という3つのモジュールを取っていました。

1つのモジュールに対して講義・セミナー・ワークショップ等があり、日本の講義メインの授業とは全く異なっており、毎週論文を読んでセミナーの準備をするなど、提出課題以外にもやる事は多く、大学がメインの生活です。

「気候変動と開発」の講義では、気候変動の仕組みと将来の変化予測を科学的に学んだ後、気候変動への対応策について学び、考えました。

その実習として、11月16日に大学から1時間ほど離れた港へフィールドトリップ(実地研修) 行って来ました⚓︎

行ったのは、Port of Wells という港です。ノーフォーク州は、イングランドの東の端に位置しており、、北海を船で渡るとすぐにヨーロッパにたどり着き、かつては大陸との交易の玄関口として知られていたようです。交易で栄えていた港の1つがport of wellsで、現在は観光地として人気です。普段は人口2300人のまちですが、夏には12000人ほどが別荘滞在や観光で訪れているようです。

2300人の小さな町で港管理に関わる方が、これまでの洪水とこれからの対策について実際の場所を訪れながら紹介してくれました。

ここport of wellsのある沿岸地域は、昔から遠浅の海岸で、1700年代に木を植林して水が入ってくるのを防ぐなどの対策が行われてきました。1978年、2013年と大洪水が発生、気候変動による海面上昇の影響で、1年のうちに発生する洪水(水が陸地に入ってくる)の回数が増えているそうです。今後はより大きな洪水被害も予想され、この地域の沿岸では砂の流失でビーチがなくなるなど、観光への影響の可能性も大きくあります。さらにイギリス政府は、イギリス全体で沿岸、河川共に洪水の多発を懸念しています。

画像1

ここでは、昔から洪水対策の水路を設けており、洪水に備えて水路をさらにアクリル板で高くしていました。しかしながら、2013年に発生した洪水では、アクリル板を越す量の水が押し寄せ、水路が溢れてしまったそうです。また、事前に洪水が予想され避難所が設けられたにもかかわらず、危機感を持って避難した住民はいなかったことも課題です。自治体の政策としては、海と港の間に大きな壁を作ることが1つの案ですが、景観が変わるため住民は反対しています。住民と政策のすれ違いだけでなく、それぞれの機関が異なる目的(農業を守りたい、鳥を守りたい、景観を守りたい)のために気候変動、洪水対策への取り組みが食い違うという課題も見られました。

画像2

このようなフィールドワークに出かけたのは初めてでした。普段は机で勉強するだけで、想像するばかりでしたが、実際に現地の人の声を聞くことができてよかったです。


日本と同じ島国イギリスは、海面上昇で砂が流れてビーチがなくなる(観光への影響)、洪水の発生という課題がかなり大きいようです。


いくつかポイントを。

・ここ数年温暖化による海面上昇で洪水の回数が増えている
・1700年代から洪水対策として木を植える、堤防を作る、ことが行われて来た。しかし、政策として今後は大きな堤防を作りたいと考えられている、もちろん地域住民は反対。この美しい景色が見えない暮らしなんて。
・1つの案は、昔の洪水がそうだったように、街の横に水が入り込めるくぼみがあるのでそれを深く掘ること。でもそこはいまは農地なので交渉が必要
・・・

東日本大震災でリアス式海岸では大きな堤防が作られたというニュースを思い出しました。(もちろん住民の方達は反対していたでしょう。もしかして東日本大震災の津波も、温暖化による海面上昇で予想を超えた大きさになってしまったのでしょうか。詳しくご存知の方がいたら教えてください。)

案内してくれた方の、
「私たちは気づいた、知ったけど、行動するのに残された時間は少ない。学んで行動するのは君たち」
というメッセージには背筋が伸びました。

地域の声を汲み取った政策
ってとても難しいけれど、ローカルな、そこに暮らす人々の声を忘れずに行動したいね、
とクラスメイトと話していました。

寒空の下お話を聞いて凍えた後 20分の自由時間では、
せっかく港にきたならfish and chipsだ!となった私たち。
ほくほくのフィッシュとチップスをバスに乗る寸前までかき込みました🐟

2018.11.17


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?