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笹川氏のミャンマー訪問の考察

今月18日に、日本財団の笹川陽平会長がミャンマーに訪問し国軍最高司令官と面会しました。

訪問した理由は国軍から不当に5ヶ月以上拘束されている、米国人ジャーナリストのダニー・フェンスターの開放のために、米国の要請を受けてとあります。

えっ、なに?
アメリカ人の開放のための仲介??

と一瞬、疑問と不思議と不信感が入り混じった後味悪い感情が芽生えてきたのでした。これがまさかの日本の独自なパイプなのかと納得しそうにもなってしまいました。

ダニーの開放

ダニーの開放については11月2日に米国の元大使のリチャードソンが訪問しています。それに、日本財団の会長ともなる笹川氏が働きかけに加わったということは、きっとダニーは相当な重要人物であることは間違いないと思ったのです。

実際のところ、ダニーは新聞の編集者でクーデターより随分前からミャンマーに来ていた一般の方でした。また、笹川氏が訪問して数日後にダニーが開放されるというスピーディーに交渉が成立しているのだから妙な違和感は否めません。

また、NLDの幹部とも面会したとしていますが、NLDの幹部が誰なのかは公表されていません。もちろんNLDからも正式な訪問は申し込まれていないと発表しています。

訪問中の寄り道

どうやら笹川氏はミャンマー西部に位置するアラカン州に訪問していたそうです。その理由は公表されていないので不明ですが僕の考察を述べます。

アラカン州の魅力はなんと行ってもガパリビーチではないでしょうか?ガバリはミャンマーで一番海がきれいなリゾート地で世界の有名な旅行サイトでも1位に選ばれたことがあります。

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写真出典:トリップアドバイザー

きっと笹川氏はコロナーとクーデターで観光客激減している今の時期にガパリのビーチ独り占めして英気を養う狙いではかと思った訳です。ただ冷静に考えてみると日本財団の会長ともなる方が興味あるのはビーチよりもビーチに面した土地なのではないかと思う自分もいました。

次にアラカンの魅力といえばアラカンモンティーです。魚醤ベースのあっさりしたスープとそうめんで食べる料理です。自分も大好きなのでインスタントの素で嫁はんがよく作ってくれたりしています。

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写真:嫁はん作のアラカンモンティー

きっと笹川氏はアラカンモンティーが相当好きでどうしてもアラカン州に訪問したのではないかと思ったのです。ただアラカン州は交通が不便で車の場合険しい山道を通らければならず飛行機でもそれなりの時間がかかるのです。アラカンモンティーのためだけにアラカン州に訪問するのもちょっと納得ができるほどの理由にはならないのです。もちろんヤンゴンでもアラカンモンティーのうまいお店がたくさんあるのだから尚更です。

笹川氏のアラカン州訪問前のでき事

笹川氏がミャンマーに訪問する少し前に、AA(アラカン族武装組織)と国軍の間で衝突が起きていました。AAと国軍は2019年から2020年にかけて大規模戦闘が起きていおり、2020年の後半から停戦に合意して停戦状態になっています。

2月のクーデター後もAAと国軍の衝突はありませんが、ここ数日になってAAの支配地域での国軍の戦争行為が理由で戦闘が起きていました。

笹川氏のアラカン州の訪問後の変化

アラカン州の前線に駐留している、国軍の陸軍師団44と55がミャンマー中部のピイの街に移動している情報が入って来ています。陸軍55師団は2020年のAAとの激しく激突した師団でもあります。それらの師団がAAとの前線を離れて、アラカン州を堂々と中部に移動できたのは自称平和交渉人の笹川氏のアラカンの訪問後です。それまでは国軍はAAとの衝突を避けるため兵隊の移動は大々的にできなかったのです。

アラカン事情に詳しいジャーナリストの見解

ミャンマー国内では東西南北のEAO(少数民族武装組織)とヤンゴンでのPDF(市民防衛団)の襲撃に国軍はかなり圧迫されています。その状況で国軍はアラカン前線の55師団の兵力をPDFの制圧に呼び戻したいはずです。笹川氏は国軍最高司令官に頼まれてAAとの交渉のためにアラカン州に訪問したというのは納得できる理由になります。

AAはアラカンの住民を戦争被害から守るために戦争を避けたいのです。国軍司令官は陸軍44、55師団の兵力をPDFと国民の殺戮に使用できて権力を維持できるようになります。笹川氏は国軍司令官からのお礼として国軍の所有地を安く借りることができるような権利を手にしたかもしれません。

政治をめぐる出来事には偶然はない

これでミャンマー国民を抜きにWIN・WIN・WINが成立して辻褄が合います。国軍が兵力を使えるようになったことにより、ミャンマー国民の殺戮と弾圧の被害が増えることは間違いないです。

これが笹川氏がミャンマーを訪問した影響というのは言うまでもないでしょう。ダニーが開放される絶妙なタイミングと正体不明のNLD党の幹部との面会という理由は、さすがだなと思わざるを得ません。


よかったらミャンマーを助けるために支援してください。

https://note.com/minthit21dj/n/n91f0d134c7e2


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