派手じゃなくても

阪神タイガースの快進撃が止まらない。
開幕時には先発陣の核となるはずだった青柳投手が不調で苦しむ中、1つ負けを挟んで2度の7連勝。
阪神ファンにとっては最高の5月になっているのではないでしょうか。

今の選手層を見ると、本当にレベルが高い選手が多いなと感心させられる。野手陣を見ると、巧打&華麗な守備で魅せる近本・中野・木浪の1番、2番、8番。頼れる4番、大山。投手陣と阿吽の呼吸で戦う坂本。投手陣には去年のローテにはいなかった村上、大竹。最強リリーフ陣を引っ張る岩崎。他にもたくさんいるが、今挙げた各選手は球界の中でとりわけ派手ではないという点が共通していると私は感じる。

もちろん、派手じゃない=戦う気力がない、というわけではない。物静かで普段は謙虚ではあるが、チームの勝ちのために、〇〇さんの勝利のために、いろんなものを背負って戦っている。中継カメラがプレー中のそんな選手の眼差しをズームで捉えた時、まっすぐな瞳の中に燃えるものが見える。その炎の色は赤というよりもどちらかというと青白く光っていて、赤色よりも高温なその炎で相手をねじふせている。

派手じゃない=等身大に振る舞っている、というところがこの選手たちの魅力なのではないだろうか。彼らには決してワンマンプレーのようなものが見られない。日ハム時代のダルビッシュ有や24勝した時の田中将大のように、マウンド上で派手にガッツポーズをしてチームを鼓舞するタイプももちろんかっこよかった。でも、自分をしっかり見つめて等身大でいるからこそ、冷静に実直に試合に向き合うことができ、その実直さがチームの中で良い相互作用をもたらしているのだと思う。

「1人はみんなのために、みんなは1人のために」
大竹耕太郎投手がヒーローインタビューで語ったこの一言こそ今のタイガースの魅力である。それぞれの静かなる熱い闘志に、全国のファンも熱狂してしまうのだ。


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