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プレイ記録「ゼノブレイド3」

※ネタバレには配慮しないので個々人で自衛してください。
 けっこうネタバレが致命的なゲームではあります。





すごいゲームだった。ボリュームでいえば過去最大のRPGだったかも。
作ってる人の「あれも!これも!ぜんぶ!」という気持ちをあちこちで感じる物量で、そこんじょそこらの作品とはかけている熱量が違う作品だった。
あまりにも要素が多いためすべてを語り尽くすのは難しく、内容を絞って書こうと思う。


また、さまざまなファンサービスのある作品だけれど、Xシリーズはあまり熱心に追いかけているわけではないので、了承いただきたい。

  • ゼノギアス:途中まで(ゼプツェンなる機体に搭乗する仲間が加入するまで。名前は忘れた)

  • ゼノサーガ:エピソード1クリアまで(当時はまだ子供だったのでぜんぜん意味を理解できなかった)

  • ゼノブレイド:2だけクリア(これはDLCも含めてそこそこやり込んだ)


シナリオの話

良かった話

良かった話からすると、「寿命がわずか10年」という設定がまず上手い。
10年しか生きない人間たちに生殖の使命も性欲も(その余裕も)なくて、
それを象徴しているのがオープニングからすぐの入浴シーン。なんと軍隊の浴場が男女共用。しかもそこでは誰も欲情を持ったりしていないというシーンにたいへんギョッとした。ユーニのスタイルがいいから尚更。

このゲーム、男女のペア間の友情や、友情をわずかに越えた感情を描くシーンこそ多いが、性を意識させるシーンがかなり少ない。キャラクターのコスチュームも(クラスチェンジの都合もあってか)全体的に中性的。前作ゼノブレイド2では甘々王道なボーイミーツガールを描いておいて、今作ゼノブレイド3ではたいへんプラトニック。

誤解のないように言うと、決してポリコレ的な配慮ではなく、キャラはちゃんとかわいい&かっこいい。そんな魅力のあるキャラ達だからこそ、いやらしさがないのが気持ちいい。これがゼノブレイド3最大の評価点。
「もっとキャラ同士でイチャついてほしかった」という欲求はファンアートで満たそうね。

で、ここからくる「寿命が残りわずかのヒロインの話」がすごく良くて、ずいぶん心を揺さぶられた。
ナヨナヨせず、でもちゃんと思い悩んでいるヒロインがいて、何度もプレイヤーをハラハラさせて、クライマックスシーンでは劇的な解決を迎える。
ここでゲームクリアでも良かったぐらい良い展開だった。


良くなかった話

このヒロインの寿命問題が解決した瞬間、シナリオすべての緊張の糸が一気に切れる。
ああよかった、ひと安心だね。あとはラスボスを倒すだけだね。
これがよくない。本当によくない。ここで一気にシナリオを読む熱が冷めてしまった。なにかもう一本、プレイヤーにハラハラさせる緊張の糸を張っておいてほしかったなと思う。

ここで残念だったのが悪役「メビウス」の存在。
序盤こそ認識改変やらコピー人形やら、悪趣味で悪辣な特殊能力を使ってきて、嫌らしくも強大な悪役として登場したけれど、そういった能力を活用しているのは序盤のごくごく僅かなメビウスだけ。中盤以降は「ええい!私が直々に殴り殺してくれるわ!」と、特殊能力を使うこともなくノコノコ登場し、そしてあっさり殴り負ける。
最も悪辣な「人の意識を乗っ取る能力」が登場した時は「エグい能力きたなぁ!これだよこれ!」と期待半分心配半分だったけれど、扱うキャラがキャラだったので、特にひどい悪用をされなかった。安心したやら残念だったやら。
とにかくメビウスの扱いが悪い。扱いが悪いので登場しても倒してもなんの感動とかもない。
もっとグチャグチャに、汚く悪辣に、主人公チームをかき乱して欲しかった。

そういう点で、最初に倒したオネエ(名前忘れた)と、初期のエヌだけはちゃんと悪いヤツで好きなキャラだった。彼らに続いてくれるメビウスがもっといたらなぁ。


ともかくシナリオ上で寿命以外の何も心配することがなかった。
主人公チームはかなり強いので、「巨神兵」なる戦略兵器の超巨大ロボットを投げ飛ばしたり、フルパワーのメビウス相手に普通に殴り勝ったり、「それができるんだったらシナリオで苦労せんくない?」という展開が多い。マジで主人公チーム強い。

なお、バトルでもちゃんと主人公チームは強い。



バトルの話

懐の深さ

難易度はノーマルでクリア。
バトルが難しくて詰まることがないように、いくつもセーフティをかけたゲームだなと思った。
前作ゼノブレイド2ではメツ戦の「モナドサイクロン!!」で全滅したのを覚えてるけど今回はそんなことがなかった。

まずレベルがすぐ上がる。エリートやユニークボスに経験値補正があり、ここにさらにチェインアタックのオーバーキル補正がかかるので、レベルを稼ごうと思ったらあっという間に稼げる。
ここにさらに休憩ポイントでの追加レベルアップ機能もあるので、シナリオ進行にレベルで不自由することが(序盤を除いて)ほぼない。

そしてバトルにおける味方AIがなかなか優秀。多人数チーム戦にありがちな「AIが弱くて使い物にならない」って事が(一部を除いて)あまりない。しっかり攻撃をしてくれたり、リアクションコンボをかなり考慮してくれたり、蘇生をかなり優先度高く行ってくれる。
もちろんAIに任せっきりにせずに、
・「ディフェンダーに的確なタイミングでガードアーツを使ってほしい」
・「ヒーラーのフィールド生成位置を調節したい」
・「アタッカーのDPSを高めたい」
などの欲求が出たらその時初めてプレイヤーが操作したらいい。それぐらいの塩梅。なんならプレイヤー操作もAIに任せるモードがある。

で、最後にシステムがありえないぐらい強い。チェインアタック、インタリンク、リアクションコンボの3つ。この3つのうちどれか1つでもいいので積極的に活用しようとすると急激に難易度が下がる。それぐらい強い。

というように、いろいろシステムが多いけれど、すべてを理解して使いこなす必要もない。「好きなようにプレイしていい」懐の深さがある。
よりRPGとして楽しみたくなったら、ハードモードにしたり使うシステムを縛ったりして遊べばいい。マジで主人公チーム強い。


これは許されるのか?

特にスゴいシステムなのがチェインアタック。
チェインアタックを完遂すると桁違いのダメージを与えられる
これは本当に桁が違っていて、平時では1000~10000弱ぐらいのダメージのやり取りをするゲームなんだけれど、チェインアタックを1回完遂すると合計で1000万~1億ダメージぐらい入る。しかもチェインアタック中は敵が一切攻撃せず、チェインアタック中は味方HPが1を下回ることがなく、チェインアタック中にHP回復やヘイトの調整も行われる。

ほぼ「チェインアタック突入に成功したら勝ち」「あらゆるピンチをチェインアタック突入で挽回できる」ぐらい強力な性能をしていて、これは逆に「チェインアタック以外の全てが茶番」と言い換えてもいいぐらいのゲームになってしまった。

茶番を乗り越えられるだけの地力は必要だけれど、それ以上はいらない。
主人公の初期ジョブがアタッカーだけど、ただ勝つためだけならわざわざアタッカーを操作する必要性がかなり薄い。
のらりくらりとディフェンダー操作とヒーラー操作を切り替えながらチェインゲージを溜めて、光ったらスタートボタンを押す。こんな受け身なプレイスタイルで僕は進んだ。

こんな調子なので、インタリンクまで使うのは申し訳なさが勝ち、なかば縛りながら遊んだ。なのでインタリンクについては「カッコいいなぁ」以上の感想はない。

誤解のないように言うと、チェインアタックを綺麗に完遂するにはパーティ内で事前にロールやアーツの調整が必要なので、そこを構築する作業はちゃんと楽しかった。

最終的にはメディガンナー(ユーニの初期ジョブ)が生成するヒーリングサークルが実質無敵とも呼べるぐらいの回復するので、全員で一箇所に固まってヒーリングサークルに乗り、あらゆるボスをゴリ押した。

後々調べてみると割とこういったズルが横行しているゲームのようで、ディフェンダーをひとりも編成しないとか、6人全員同じクラスにするとか、いろんな攻略方法が編み出されているみたい。
こういったズルを許せるのもRPGとしての懐の深さ。ここは良いポイント。


ほか、バトル演出(VFX、モーション、カメラワークやその間)をもうちょっと凝ってほしかったなとか、そういった話は省略。Switchの容量問題もあるだろうし。

おわりに

総プレイ時間は80時間強。
これは比較的早い方のようで、サブクエストなどをきちんと堪能しようとすると100時間は余裕で越えるみたい。

マジでなんでもあるゲームで、壮大なシナリオあり、イケメンの主人公がおり、かわいいヒロインがおり、広大なフィールドあり、収集要素あり、ジョブシステムがあり、青魔道士システムもあり
およそRPGにあったものならだいたいある。マジでなんでもある。青魔道士が出てきたときはなんでもありすぎて退いちゃったぐらい。
TIGER&TIGERはない。

2022年現在、僕が友人に「なんか面白いRPGゲームない?」と尋ねられたら、ゼノブレイド3は確実に紹介する候補に入れるだろうなと確信するぐらいにはオススメ。そんな作品でした。