やさしいまなざし
三連休だ。
お昼が終わったと思えば、
あっという間に夜がくる。
ギリギリか足りないくらいのスタッフ数であっちへこっちへ走り回った。
お待たせしてしまったり、ミスが起きやすくなると、もっと満足のいく動きができたなぁと悔いが残る。
今日も目の前のことでいっぱいいっぱいだったが、ある男性のお客様のテーブルにたってから気持ちが落ち着いた。
お料理を運ぶごとに、
「ありがとうございます」という言葉とともに、口角をあげ目を合わせてくださる男性だった。
おひとりで、
白いブックカバーの本を読みながら、
ボトルの赤ワインを飲み、
イタリアンのお食事を愉しまれていて、
時間の過ごし方が、すごく豊かな方だなぁと感じた。
この方に笑顔を向けられてから、
忙しいなかでも、一呼吸おいた接客を心に留め、少しでも心地いい時間を過ごしていただくよう意識するようになった。
レストランを去り際に、
ありがとうございました。
美味しかったです。
また、明日。
と声をかけてくださった。
すごく感じがいいですね、とお言葉をいただいたが、その何倍も、お気遣いが言葉やまなざしに現れるお客様だった。
気遣いを、自分の態度に、にじませること。
10月の三連休、初日。
今夜の私は、この方に助けられ、学ばせていただいた。
2017.10.7
この話には続きがあって、
後日上司から、「最近の若い子で『左様でございますか』と言葉をつかえる子はいない」「気もちがよかった」とお褒めの言葉をいただいていたと聞いた。
「自分でもそれなりに手ごたえがあり、それがお客様からも返ってきていたなら、本物ですね」
と上司にことばをかけてもらい、何よりうれしかった。
明日も、がんばろう。
2017.10.16
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?