芝居のメソッドはビジネスコミュニケーションスキルに流用できるか

お芝居をやっていたころ、演出家の先生にこう言われたことがありました。

「役者が10感動していないと、観客へ1の感動は伝わらない」

芝居とは、言ってしまえば全てウソの世界です。
そして観客はそのウソをウソと知りながら観にいくわけですが、なぜか中盤から「真実」だと勘違いして感情移入をし、結局最後には感動してしまいます。

ウソだと最初から見破っている人を騙すのが
演技であり、役者の持つ技術なのです。

通常の世界では1の感情で事足りるところを
役者は観客を騙すためにそれを10倍にして心で扱います。

ウソの世界であるからこそ、本当の世界の10倍分の真実を表現しなければならないということです。


さて、もう役者として芝居に関わることをやめて数年経ち、現在は一般企業の営業職をやっている私は、今更になって「芝居メソッドって汎用性があるな」と考えています。

営業ではよく

「本当にこの商材がいい!と自分で思っていないと、お客様には伝わらない」

という話がなされますが、これってお芝居と全くおんなじだな、と。

結局完璧に身につけられたわけではないのですけれど(というより、身につけている役者なんて数えるほどしかいませんが)、舞台の上で行っていた「10倍の技術」を少しビジネスに応用するだけで、コミュニケーションが円滑に進んだり、はたまたマネジメント方面でも有効利用できたりする可能性を感じているのです。

よく、芝居のメソッドを用いて「コミュニケーション能力を向上させる」といったワークショップは聞きますが、そこから一歩踏み込んで「ビジネスコミュニケーションスキル」に紐づいたものはあまりないのではないでしょうか。


そこで、これからは自分自身の備忘録も兼ね、ビジネスコミュニケーション能力の向上に流用できる芝居メソッドを書いていこうかと思います。
可能であれば、その練習方法も含めて。

「人に話し"かける"ということ」
「人の話を聴くということ」
「言葉には上下左右の方向性があること」
「言葉には温度があること」
エトセトラ、エトセトラ

私が芝居を通して学んだことの中には、単に人と話す上で必要な言葉の能力だけでなく、メモのとり方や説明の仕方など、社会人として必須の能力に関するものもたくさんあります。

すでに提唱されているものから私自身が発見したことまで、大小問わずお伝えできればと思いますので、よろしければご覧ください。

「芝居」が一部の人に好評なエンターテインメントから、実用的なスキル向上のメソッドとなりうる可能性が広がることを願います。

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