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人生で1番濃かった日の話

夜行バスは早く着きすぎる。
朝7時の東京駅なんてすることがない。
女子トイレは化粧と髪を巻くお姉さんで埋まってるし、とりあえず私はすっぴんのままスタバに入った。

コンサートは午後6時から幕張で。
Twitterで知り合ったオタク友だちとは東京駅で午後2時に待ち合わせしている。それまでは自由時間だ。
街はまだ活気がないので、10時まではスタバに居座ることにする。

それにしても暇だ。
WiFiと充電器コードがあることが本当に助かる。
何を思ったのか、私は対して興味もない
「Re:ゼロから始める異世界生活」を見始めた。
______15分、面白くない。メイド服に水色髪で有名なレムちゃんとやらが出てくる前に見るのをやめてしまった。

 それからは 、"東京駅のスタバ"だし、芸能人が来ないかな なんて田舎臭いことを考えながら時間を潰した。

そろそろ街は動き始めたはず。
行くあてもないが、原宿に行けばなんとかなるだろうと、山手線に乗り込んだ。

竹下通りはしんどい。平日なのに人が多すぎる。
とはいえせっかく東京っぽい場所に来たので写真は撮りたい。観光客感が出るのが恥ずかしくて、正面ではなく控えめな場所からひっそりと撮った。

竹下通りをひとりで歩く勇気がなかった私は、竹下通りから1本外れた大通りを歩く。今思うとそこがかの有名な表参道だったんだと思う。

「ラフォーレ原宿」に行ってみたかったので、行くことにした。
ラフォーレ原宿内だけで、こんどうようぢを5000人は見たと思う。
原宿ってすっげえ!イケメンと美女がいっぱい!
歩いてる人みんながインフルエンサーに見えた。

特に何も買わず、そこそこ良い時間になってきたので東京駅に戻ることとする。

合流するのは私よりひとつ年下の、FAを描いている女の子。山形出身とそのとき初めて知り、方言が可愛かった。

幕張までの電車は長い、1時間位あっただろうか。
その間に私たちは推しの可愛いこと、推しのかっこいいこと、推しの尊いことなど色んなことを語り合い、仲を深めた。

会場に着くと、まだ人は少ないようだった。
近くのデイリーヤマザキでスープDELIを買い、階段に座ってグッズ列を見ながら食べるなどする。
ライブ前って感じ。楽しい。

少しすると、フォロワーのオタクたちがぱらぱらとやって来た。オタクたちは、系統は違えど、各々
めいいっぱいのオシャレをしていてかわいい。
オルチャン系、ストリート系、韓国風地雷系など
みんなちがってみんなかわいい。
韓国オタクは特に髪色がかわいい。

オタク界隈で有名な人とも喋ることができて楽しかった。本当に、治安の良い、良いオタクに恵まれたなあと思う。

開場の時も近づき オタクたちとは離れ離れになる。
オタクと戯れてる時間が楽しすぎて もはやこのために東京まで来たのかと錯覚してしまうほどだった。

ひとりになり、寂しい気持ちで、ペンライトの色味を確認したり、ブロマイドと一緒にメンバーのパネルを撮ったり、スポンサーからの祝花を見たりする。(楽しんでるやないかい)


座席に座るやいなや、隣に座っていたギャルから
「え?ひとりですか?」と聞かれる。
「そうです」と答えると、すごいテンションで
「えっ私もひとりなんです、何歳ですか?え?
同い年?タメでいこ?」 と秒で友だちが出来た。

ライブが始まるまで隣のギャルと、推しがかわいいこと、推しがかっこいいこと、推しが尊いことを語り合った。ちょうどいいくらいで幕開けの時間となる。

ライブ中、彼女と叫びまくり、推しのあまりの可愛さに悶絶したときはお互いの体が崩れないように支え合った。
同じものが好きというだけで、こんなにもすぐ仲良くなれる。オタクって素敵だ。

ライブが終わり、彼女の友だちたちが迎えに来る。
「やばかった!」「やばかったね!」
と語彙力の無い感想を投げ合っていた。
「この子 隣で仲良くなったの」と私が紹介される。
ギャルの連れ5.6人ともすぐ仲良くなった。
彼女たちは皆リアルの友だちで、看護学生らしい。
その中の何人かとは 今でもインスタで繋がっている
「一期一会だよね」「ホント出会えてよかった」
などとお互い素敵な出会いに感謝した。ステキ。

時間は22時を過ぎていた。
そろそろ夜行バスの時間だから帰るねと
泣く泣くその場を離れた。
気づいていた。これは間に合わんやつだ。
ライブの余韻に浸る人たちを横目に
小走りで駅に向かった。

息を切らしながらなんとか、電車に乗った。

23:20 新宿発の夜行バス。
しかしNAVITIMEによると、
どうやら私は間に合わないらしい。
それはそれは焦った。
終電も近い!ホテルに泊まるという選択肢はない!
東京にひとり取り残される!大阪に帰れない!

急いでママに電話しようとした。
でも私は超冷静で賢いギャル。
それよりも先にできることがあるはず。
超天才ギャルの私は間に合う夜行バスを検索して
何とか24:20発の夜行バスを(仮)予約完了。
最後の難関は23:59までにコンビニで支払いを済ませなければならないことだった。

新宿に着いたのは23:30
あと29分のうちにファミリーマートを探し、
支払いを完了しなければならない。
ちなみにバス乗り場のあるバスタ新宿の場所もよく知らない。
幸いバスタ新宿は駅の目の前で、
バス乗り場のすぐ近くにファミマもあった。
残り5分くらいだったと思う。間一髪。
ファミポートに飛びついた。
大阪に帰れるぞ!!

人生で1番忙しくて濃い1日だったと思う。
それと同時に人生で1番楽しかった。
オタクたちと過ごすことはこんなにも楽しい。
逃した夜行バスの6000円分は人生の勉強代だ。
もう私がバスをを逃すことはないだろう。


朝 8時 大阪梅田 着


家に帰る時間なんてない。
ペンライト、うちわ、スローガンのフル装備で
ライブTシャツのまま直行で大学へと向かった。


END