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【03:ミンカ10th企画】ひとつだけ決めた約束は、10作で終わること

前回までの話
オタクの世界へ一直線。メイド服を手に入れノリでニコ動に投稿。

一生懸命書いたのに、まとめたら二行で終わる。悲しい。

ノリで投稿した動画はどうなったのか。
今回はそのへんを書いていきます。
 


投稿動画に1コメを自らつけると、そこからすぐに他ユーザーからのコメントがつき始めた。
内容は全く覚えていないけど、多分2とか3とかうぽつとかそんなぐらいのものだったんだろう。
リロードするたびに少しずつ増える再生数やコメントに一喜一憂し、作ったものに何かしらの反応があることに2人で喜びあっていた。

しかし投稿から1時間もたたないうちに、思ってたよりコメントも再生数も進みが早くなってくる。
なんだこれ?
様子がおかしくないかい?

ここから自分たちでは予想もつくはずがない動画の進化が勝手に始まる。


まず大論争となった、
男の娘ではないか?という疑惑が勃発していた。

ここから自分で言うなよということも少し入ってきますが、言わなきゃ話進まないんでご勘弁を。

当時のニコ動では「こんなに可愛い子が女の子のはずがない」というタグがあった。

コメントで指摘されまくるまで結局気づいていなかったのだが、その頃顔を隠すことがデフォルトであった踊ってみたで、自信満々(?)に顔をさらけ出し踊っている女は完全に異端だったようだ。
驚きの声が相次いでいた。
普段から踊ってみたを見ていた人たちは衝撃だった…のか…?このへんは想像するしかない。

後々わかるのは、当時男性陣で顔を出している人はちょくちょくいたが、女性陣はほぼ9割マスクやらして顔を隠し踊っていたことだった。

顔の好みは各自の主観にまかせるとして、堂々とこれだけ顔を出して踊っている…信じられない…→こんなに可愛い子が女の子のはずがないタグ付けぽちぃっ
こういうことだったのかなと思う。

そのタグの意味を知っている人も知らない人もやんややんやと騒ぎ始めた。

よく見れば確かにゴツい!(失礼な)
肩幅とか腰回りとかどう見ても男じゃん(失礼な)
喉仏あるのうまくメイド服でごまかしてる!?(無い)
髪もカツラじゃない?!(無い)

和室の天井の高さなどから身長を割り出す人もあらわれる。
その緻密な計算によると余裕の180センチ超えだ。

今でこそ上記の()内のように言えるが、当の本人は衝撃を受けていた。
だって
普通に生活してて性別不明て言われること、ある??????
そんな知らない人からストレートにブスとかデブとか容姿をこき下ろされること、ある?????

優しい世界でしか生きてきていなかった私にとって、それはとんでも無い驚きだった。
ただこの時点では傷ついていたわけではなく、勝手に盛り上がっていくコメントに頭の中でクエスチョンマークが浮かびつつ面白がっていた。この時点ではね。

その次に伯爵とはなんぞや?
という疑問ももたれたみたいで。
その頃は自分で撮影も動画編集もこなすのが一般的だったので、撮影者と踊り子が別の人物でしかもなんか伯爵やらメイドやら設定盛り込んできてるのが異質だったらしい。(ここまでくると「(異世界にて)またオレ何かやっちゃいました?」みたいにうつるね…)

伯爵とメイドとかいってるけど1人でやってるに違いない、だいたい女と男ふたりで撮ってるとしたらそういう類のプレイだろとか。
なるほどなぁ、そう見えるのか…。

あとは
なんでテレビ台の上にAmazonの段ボール箱あるの
後ろのまどの隙間から何かのぞいてない?なんかちょっとあいてない?
エアコンのコードそれどこいくの

とか、視聴者の目の付け所が本当に面白くて!

もちろん純粋に褒めてくれるコメントがあったら心の底から嬉しかったんだけど、動画ひとつで見ている人の想像をかきたてているんだという愉悦に浸れるのがたまらなかった。

コメントで募集し、つけてもらった名前は、マクロスFで星間飛行を歌うランカ・リーちゃんにちなんでミンカ・リー。
伯爵はマクロスFのアルトくんからアルト伯爵に。(アルト伯爵の名前は数ヶ月後に決まりました)
うーん、すごいしっくりくる。この秀逸な名前つけてくれた方々にはずっと感謝しています。ありがとう。

顔出しと男の娘疑惑で盛り上がり、ランキングもあがったことによりさらに注目が集まり、3日後…?5日後…?(全然覚えてない)

予想外の反響は嬉しかったけど、コメントは大荒れも大荒れで、これ手に負えないのではと思う程になってきていた。
激しく罵る言葉で動画中埋め尽くされた。
そしてついに
「顔出してるってことはいつ襲ってもいいってことだよな?」
というようなコメントが流れた。

そこで、これは一旦動画消そうと伯爵と決めた。


ネットで顔を晒すというリスクをそのコメントでやっと知ることになった。
本気で打ったコメントではないと思う。
でも顔を出してネットで踊ることと、実生活を結びつけて考えてはいなかった私は初めて恐怖を感じた。そうか、犯罪に巻き込まれやすくなる可能性だってあるんだ…。
色々考えた。
実際そこから今まで生活してきて、顔を出していたことで何かしらの害を被ったことは一度も無い。だからといって、たまたま無事に過ごせただけかもしれない。リスクは常に背負っている。いまだに。


もう投稿者ではどうにもできない変な空気になっていたのであの時はじめての動画を消したことは全く後悔していない。
ノリで始めたものを一度冷静になって考える時間もできた。

動画を消してからは、削除後も流れるコメントの様子をずっと見ていた。あの大荒れが嘘のように復帰を望むコメントが多かった。台風一過みたい。一種の祭りとして楽しんでいた人が多かったんだろう。

それまでの盛り上がりを思い出し、今まで体験したことのない快感が忘れられなかった。作ったものに返ってくる反応、それがこんな中毒になるものだとは。
顔出しのリスクと天秤にかけても、やはり楽しかった。すごく。

今回はどうにもならないところまでいっちゃったけど、落ち着いたらまたアップロードしたいねと伯爵と話した。


そして1ヶ月後、私たちは伯爵とミンカ・リーとしてもう一度星間飛行を投稿した。
ひとつだけ決めた約束は、10作で終わること。


そこからは私も伯爵もよくニコ動を見た。
知らなかったことが1発目の当たりにつながったのは大きかったが、今後はこの世界を知らねばと思った。

流れを見ながら、こうやったら面白いんじゃないかというアイディアを出し合い2作目、3作目と作っていった。試行錯誤して作ったものも受けるのがわかると楽しかった。

依然として男の娘疑惑は払拭されたわけではなかったが、ブログを始めて発言の場をもつことや動画内で女っぽさを強調することでだいぶ薄れてきていた。伯爵のことも、ふたり一緒にネットラジオをして存在の証明をしようと試みたりしていた。

私の頭の中は普段から踊ってみたに関することでいっぱいになり、だんだんとミンカとの境がなくなっていく。
画面の向こうで踊っているのはミンカだけど私。
初めは別人格のように振る舞っていたし実際そう感じていたはずなのに、不思議な感覚だった。きっかけとなるのは負の感情なんだけど、それはまた後日書くかな。

この頃からミンカとして他者とのつながりができ始める。

今回はここまで。また次回。


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