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世界大学ランキングにみる日本の閉鎖性

大学教員および大学関係者なら、ふつうは誰もが知っている Times Higher Education (THE) の世界大学ランキング。先日、これの2018年版が発表されました。

日本の大学は、予想通り、軒並み順位を下げています。
これは今に始まったことではありません。日本の大学は、ここ10年、ひょっとすると20年くらい前からどんどん国際競争力を落としてきています。

言葉の壁があるのだ、という言い訳は、残念ながらこの業界では通用しません。というか、いまはどんな分野においてもそうだと思います。

それに、言葉の壁が問題なら、中国本土や韓国だって英語圏じゃないですけど、中国・韓国の大学は着実に実力を伸ばしています。とくに中国の躍進ぶりには目覚ましいものがあります。

中国(香港を含む)の大学は、外国人教員の採用も活発で、スカウトや採用ミッションなんかもイギリスに来たりします。

「採用ミッションであなたの住む街に行きます。ヒルトンホテルで合同説明会をするので興味があったら来てください」というメールが突然来たりします。個人的にアプローチする場合もあるそうです。

大学業界も社会も閉鎖的すぎる日本

日本の大学の問題は多々ありますが、まず、大学教員が、研究発表の場として英語の学術誌をターゲットにしていない。日本語で研究論文を書いて、日本語の学術誌に発表している日本人研究者が依然として多いです。

そんな狭い世界の、それも日本語という特殊な言語で書かれた論文をわざわざ読む外国人は、日本に特化した地域研究とかでない限り、ほとんどいません。

発表した論文が他の学者の研究論文において引用される数(論文被引用数)は世界ランキングにおいて重要な項目ですが、日本人が、「だって英語圏の学者は日本語の論文を読んでくれないんだもーん」と文句をいったところで、国際競争の中においては、「それなら英語で書け」と言われるだけです。

あとですね、大学だけの問題じゃないと思います。
日本という国が、留学生にとってあんまり魅力的でない。日本企業も今はあちこちで惨敗しています。それに加えて、日本社会が外国人を受け入れる体制に充分なっていない。

在日外国人の数は、昔に比べればかなり増えていると思いますが、それでも、「外国人お断り」と平気で言う不動産屋がけっこうあるとか。
そんなところに誰が行きたいでしょうか。

「日本仕様」に逃げ込んでも解決しない

弱体化した日本の大学を少しでも体裁良くみせようと、今春、ベネッセが、THE世界大学ランキングの「日本版」をリリースしましたが、見当違いもいいとこです。

それも、「日本の大学」のみを対象にして、「教育力」に注目したランキングとか。もうなんというか、「研究成果」で「国際的に競う」、という気概がまったく感じられません。

そんなランキング表をつくって、どやっちゅうんでしょうか。
日本人の学生や親御さんには何かの足しになるのかもしれませんが。

日本の中だけで通用する自己満足的なランキングに逃げ込んでいては、なにも解決しません。日本の大学のガラパゴス化が進むだけです。

日本の大学は、それをとりまく環境も含めて、内向きのメンタリティを変えないことにはどうしようもない状態まで来ている気がします。