人間とドーナツ

霧と小雨の間にいる水滴たちを顔で押し分けて歩く

いつなんでしょうか

この、体のちょうど真ん中に空いた穴が埋まるのは

もう、そこら辺の粘土で適当に埋めることはしたくないし

穴が開いてないフリも、もう出来ない


もう一人が斜め後ろから囁くには、

いつなんでしょうか

人間は元からそういう形なんだと、心で理解できるようになるのは


もしそれが答えなら、その答えはゴールじゃなくて長い道のりの開始地点

答えさえ分かればそれで良かった段階を、とうの昔に通り過ぎたことを今更思いだすのは、誰のせいなんだろう

向き合い続ける事の面倒くささが、小さい子供にボールを投げ返す時の優しさと遅さで心臓を放り投げようとする


「もう一人」が言う通り、人間は生まれつきドーナツと同じ形なら

もう僕は鏡は見れない



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