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カウンターの冒険


 私はティオミオ。王都グリムヴァルドにある冒険者ギルド。炎獅子の唸り亭のカウンターで冒険者の受付を担当しているわ。毎日、依頼の斡旋や冒険者への案内を行なっているの。変わらない毎日でもみんなの話が聞けるから退屈はしないわ。でも依頼は毎日あっても成功する話が聞けるのは毎日じゃないの。今日はだれも帰って来ない。うちの入口のスイングドアが風でぎしぎしなるのだけ。

 そんな彼女はいつもなら笑顔で対応しているが、今日に限ってはカウンターに頬杖をつき、このアルカナディア大陸へ意識を広げていた。
その意識を戻すかのようにスイングドアがバタンバタンと音を立てた。
彼女は我に返り「ようこそ、炎獅子の唸り亭へ!」と声をかける。
そこには口ひげを生やし、金の肩鎧をした中年の男性がいた。
部下らしき男を3人つれており何やらこそこそと話していた。
部下がティオミオの方へやってきた。
「おい貴様。ここに赤毛の男は出入りしていないか?剣の塚頭に金色の鷲のレリーフがついているはずだ」
自分にもついている肩の金色のレリーフを見せ高圧的に台をたたいて見せた。
「ここはギルドよ?いちいち一人ずつ身なりなんて確認していないわよ!」と反射的に大きな声を出してしまった。
何!?と兵士がつかみかかろうとする前に口にひげを蓄えた男が制止する。
「もういい。ここにはきていない様だ」 邪魔をしたと言い残し、またスイングドアは音を立てた。
「なによあいつら」とティオミオはご機嫌ななめになったが、あっと口から出て何かを思い出した。3日ほど前、兵士が言っていたような風貌の男が仲間を連れてきたのを思い出したのだ。ティオミオが今日のように暇を持て余していると、フードの男が入ってきた。

「ようこそ!炎獅子の唸り亭へ!」と声をかけると、彼はフードを少しだけまくり。にこっと笑い。
「すまない依頼を引き受けたい。なるべく遠く、時間がかかってもいいものがいいな」とスイングドアの方を見ながらティオミオに依頼をしてきた。
「はい!じゃーこちらのライラント帝国へのキャラバンの護衛なんてどうでしょうか?冒険者ギルドには登録されていますか?見ないかおですが・・・」
と彼女は彼らに声をかけると。冒険者証を提示した。ギルド独自で発行するものだが、どうみても炎獅子の唸り亭で作った証であった。
「あ、登録はお済ですね!ありがとうございます。」しかしティオミオには覚えがなかった。彼女は依頼の羊皮紙をひっくり返し見合ったものを探した。彼らは「これなら気付かれないだろう」と話しながら相談している。ティオミオはフードから漏れる真っ赤な髪の毛が炎のように見えたのを覚えている。
依頼内容はライラント帝国までの道のりを護衛し、かつ帰りはウミーズ王国までの護衛とするものだった。
彼らはありがとうとティオミオに言い残し、依頼の遂行に向かった。
普段の冒険者とは少し雰囲気の違うパーティーだったのを覚えている。

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