見出し画像

入院・手術に必要なみんなのたすけとは?

個人の民間保険加入は必要なのか?

実はわたし個人は、夫の社保以外の保険に一切入っていません。

理由はいくつかありますが、一番大きいものは私が一番苦しんでいたうつ病時代、うつ病を理由に保険加入を断られたり、保険金が下りなかったりした経験があるからです。

しかし入院した時というのは、保険診療の範囲内であれば高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます。

高額療養費とは、同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。医療費が高額になることが事前にわかっている場合には、「限度額適用認定証」を提示する方法が便利です。

ただし!人工股関節全置換術の場合、普通長くても一か月の入院ですので、わたしが選んだ16日に手術という日程は実は高額医療費の対策としてはあまりかしこくありません。必要な入院を一か月にまとめてしまうほうが、確実に入院費すべてが高額医療費の対象となります。

なので月のなるべく早い日程で手術をして、入院費を気にせずリハビリに専念するほうがかしこいかなと思います。

ただ私の場合、術後二週間で退院してしまったので月内におさまっちゃいましたが。(汗)

民間の保険に入っていれば差額ベッド代が出たり、保険診療以外の特約があったりなどメリットもあると思いますが、毎月の金額の負担は軽くはありません。したがって高額療養費でまかなえる範囲の治療を受ける前提にはなりますが、わたしはこのまま民間の保険には入らないんじゃないかなと思います。

しかし日本以外の国の医療費ってどうなってるの?

ところで、医療費が無料の国があるというのはご存知でしょうか。無料とまではいかなくても、負担が軽い国はどのように医療費をまかなっているのでしょうか。

フランスの場合、日本とかなり似ている皆保険制度があるようです。そして基本的に医療費は無料です。

ただ、パリなどは病院に比べて人口が多く、風邪の予約にも時間がかかって「そんなに待ってたら風邪がなおっちゃうじゃないか!」というくらいだとブログに書かれている人が何人かいました。

ただ小児科や発達障害専門病院なんかだと、日本でも似たり寄ったりな状況かなと都下に住むわたくしは思いますが。一時は産婦人科が予約がとれなくて妊娠がわかったら即申し込まないと出産ができないという騒動も身近にありました。「出生率が下がっている」という我が国ですが、産婦人科がその出生率をまかなえる数がないというのはかなりどうなのかという感じです。

さらに、わたしの執刀医が常駐している総合病院だと、やはり予約はかなりあるらしく、同じ執刀医に手術してもらうのに半年くらい差があるのではと、地元の人が言っていました。これは実際の統計というより口コミと自分の経験ですが、近隣の病院が常に満床で入院できなくて有名なこと、現にわたしが入院中、その病院に転院を希望した患者も(たぶん)断られていたことをふまえると「即、希望するときに」というふうにはいかないでしょう。

さらに日本の場合、過疎地の医者不足も問題になっていますし、やっぱり「フランスは医療費は無料だけどなかなか病院にかかれない」というのは「医療費無料でもないのになかなか病院にかかれない」のと深刻度合いで言うと感覚的には微妙だな!と、思ってしまうわたくしです。

尚、フランスの医療と日本の医療制度の比較について、検索でみつけたフランス在住の方のブログの他に、素人には難しかったけど論文をひとつ参考にしました。

フランス医療制度から日本への示唆 - JA共済総合研究所(PDFファイル)

こちらのレポートではいくつかの日本の医療保険の在り方の提案もあり、わたしも現段階で「その中でこれがいい」とか「これはどれも納得いかない」とか言えるまで読み込めていないのですが、こうした研究があること自体、心強く感じます。

ちなみにデンマークの医療制度についてレポートもありました。

しかし、日本のように直接自分で生きたい病院に行ける環境に慣れている人にとっては、一度家庭医にみてもらって病院を紹介してもらい、さらにやっぱり一二週間予約待ちなんていうことが多いと、こまるという証言もありまいした。ただし、緊急性の高い患者さんは優先されているようで、そうすると結果的に軽い風邪、ちょっと重くてインフルエンザあたりなどは後回しになる傾向が場所やタイミングではありそうです。

イギリスはどうでしょうか。

イギリスは半年以上法にのっとってビザをとって駐留する場合、保険に入れるようです。医療費は無料です。そしてやはりかかりつけ医制度があるようです。しかし日本と比較して専門科の病院に必ずしもつないでもらえないなど、細やかさにかけるという記述もあります。

インドの医療事情はどうでしょう。

インドでは、医療水準は低くないようです。公立と私立と比べると、私立のほうが清潔で質が高いと外務省のホームページにも記載があります。

ようやく貧困層も手厚い医療が受けられるような制度ができはじめているようです。

一報医療従事者のストが最近ありました。その理由は「医療が十分に受けられない患者からの日常的暴力から医療従事者を守る法整備を求める」ものです。

これによるとインドの医療費(国の予算としての)がGDPの2%以下とあり、かなり低くなっています。ちなみに日本は対GDP比で10%くらい。

この図録の解説を見ると日本のこの医療費の国の負担割合は、「一応高順位だが高齢化の影響も大きいので実質多いとは言えない」「平均寿命は世界一なのでその点医療技術は信用がある」とされています。

ところで、ここまででわりと最近の日本の医療と世界を比較してきましたが、わたしたちの日本が今「失われた二十年」といわれる停滞の中にいるということを、わたしは感じています。その入り口のころの資料にこのようなものがありました。

1998~2005年くらいのデータをもとに作成された資料です。このとき日本の医療費の国の負担のGDP比は7.8%で、アメリカ、フランス、ドイツが11.5%以上となっています。医療費がアメリカが高いというのはちょっと意外ですが、上記の記事から引用するとこのような事情になっているようです。

アメリカは世界一高い医療費を使っていてもなお、健康達成度は15位、健康寿命は29位となっています。これは、老人と低所得者向け以外の公的な医療保険制度がなく、無保険者が人口の15.6%、4,500万人(2003年)もいることや、医療が産業化、営利化していることなどと無関係ではありません。
 アメリカの現状は、日本が決して見習ってはいけない「見本」であることは明らかです。

ものすごくランダムで見聞きしたことばかりの内容になって申し訳ないですが、わたしは今こういうことが言いたいです。

日本の皆保険制度が壊れそう・・・!

アメリカは、民間の保険会社に全員加入する方式で(オバマケア)皆保険制度を実現しかけましたが、トランプ政権で予算上の理由で全員加入ではなくしてしまっています。

この民間保険制度を日本になんとか持ち込み、社会的皆保険制度からのりかえさせよう、というアメリカの目論見が、TPPだったり、FTAだったりするわけです。TPPからアメリカが抜けてもFTAで様々なサービスの自由化も求めてきています。しかも全貌がわからないという点で悪質です。

しかし、幸か不幸か、日本の国民健康保険というのは、各自治体ごとにかなりの比重でいろいろなことが決められて、充実するもしないも任されている(丸投げ・・・口も出さぬし金も出さない)状態になっています。

わたしたちが各自治体でいかに自分たちのくらしや医療を守れるのか、その重要性を語り合い、市政や都道府県政で実現できるのか、その元気が日本の保険制度や医療制度を守ることは間違いないし、逆にいうとここを崩してしまったら打つ手をどんどん失っていきます。

自分の股関節全置換術の問題から、あえて得意ではない国際問題に視点を変えていきました。皆さんどうお読みになったでしょう。世の中いろんな方がいますので、おひとりでもおふたりでも「なるほど、こういうきっかけで、こういうことも考えられるのか」って思っていただけると幸いです。

尚、各自治体で、という呼びかけは、堤未果さんの講演の中で印象的だった言葉を受け売りしました。

例えば東京都立の病院が統廃合されるとか、厚生労働省が「(儲けの)効率の悪い病院を名指しした」とか、そういうことはわたしたちの暮らしの中で許してはいけないことです。許してはいけないというのは少なくとも「ああそういうもんかぁ」と、なんでも納得するのではなく「ん!?ちょっと待てよほんとにそれしか道はないのか!!??」と、引っかかってみることからはじまるのではないでしょうか。

おわりに

このマガジンを書くにあたり、ナースの労働環境について様々な訴えがナース自身からも患者からもあがっていること、人工股関節の技術の共有や補助金を求める団体活動が始まっていること、医療費や保険の研究や運動がさまざまあることなど知りました。

全体を通してあっちに行ったりこっちに行った内容になってしまいましたが、わたしはとりあえず、元気にリハビリに励んでいます。

いろいろ調べていて「人工股関節全置換術は必要ない」「変形性股関節症は進行が止まる」などの説を唱えるひとがいることも知りました。医療のことはいろいろにいう意見があることも承知しています。わたしはもう骨頂に空洞ができていたので、手術することに決めましたが、できれば上手にリハビリを続けて、左は自然のままに残して付き合っていきたいなと願っています。

今後ももし、「あ、これは同じ悩みを持つ人と共有出来たらうれしいな」という情報を仕入れたら、このマガジンに追加していくかもしれませんが、ひとまず、術後一か月の検診を無事終えたところで、このマガジンをいったん完結したいと思います。

ご愛読ありがとうございました。



自分の経験をもとに思いのまま書いていきたいと思います。 現在「人工股関節全置換手術を受けました」(無料)と 「ハーフムーン」(詩集・有料・全51編1000円)を書いています。リハビリ中につき体調がすぐれないときは無理しないでいこうと思います。