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ハーフムーン(詩集)

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あとがきにかえて(無料記事) https://note.com/minezatoeri/n/nf0d3287e210d 生きていて 自分が一番いびつにみえるとき その不格好さを…
WEB詩人時代に文芸社に拾われて世に出た詩集「ハーフムーン」です。マガジン 詩集「ハーフムーン」は…
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#詩

草に埋もれた線路

大夕張は ダムだけが残っている 展望台に立つと 背中は切り立った崖になっていて そこに ぽっかりと残った覆道

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君の 綿毛のような部分に触れたいんだ 落としてしまえばいい とがった固い心など 紅の葉は 足もとを行く清流に乗って はるかな海に沈むだろう

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もう手紙なんか書かない

昨日はとても言えないと思ってた だから手紙を書いた なのに今日 あなたの穏やかな顔を見て 言えばよかった と

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儀式

また 白い川に赤い雫を流す 鈍い痛みが支配するのを 足枷のように わたしは受け止める

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癒着と剥離

かなしい秘密を胸にしまいこむよりも めくるめく思いを閉じておくほうが難しい わたしにとって大切な出来事も 口に出してしまうととがった石のように

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冒険の記憶

8歳年下の夫とともに わたしが子どものころ過ごした団地を 見に行った

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夕刻、窓をあけて。

どこかで 玉ねぎを炒めるにおいがしている 西日があたる窓の下で 亀はひなたぼっこ

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ドリル

セーラー服を脱いで 横たわる 欲しいのはお金でも まして愛でもない

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あまりにもはかなげな消滅。

ひとつの魂が 霞の中に現れて 泥の海に流されてゆきます 姿かたちばかりが大人の 少年と少女の間で

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七夕キャンプ

夜空に散る星たちを ぐるり みんなで寝転んで見上げた 波の音だけが聞こえ だれも喋らないのにひとつ

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わたしは見た

緑の月からやってきて わたしは地獄を見た そこは針の山 たくさんの少女たちが 千人針を縫っている 「ご無事でねそして手柄をたててきてね」 彼女らの願いこそが 男たちの命そのものを 刺す 大王に 操られているのにも気づかぬまま

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犬があるく。

豪雪の中を 黒いブチの犬があるく 足跡とそいつの区別もつきゃしない

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春風の中で

陽射しが 柔らかな君の髪を照らすので 思わず抱き寄せて ほおずりしたら

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鈍い光をおびるもの

落ちる 落ちる 落ちる わたしは鈍く光りながらまっすぐに 落ちて 落ちて 切ってしまったわ マリーアントワネットの首

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