えいえーん

なぜ私はこんなに8月と相性が悪いのだろう。失い、絶望し、もがき苦しみ、抜け殻になるのはいつも8月だ。前世でなにかしたのかな、8月に。8月に納めるべき年貢を納めなかったのか、海で違法にあわびを採って食べたのか、痴情のもつれで連れ合いを刺したのか。はたまたもっと悪いことだろうか。神様、いるならもう許してほしい。こんな調子なら、来年の8月は長い休みをとって、どこか人気のないところに隠れていたい。

昨日茅ヶ崎に帰ってきた。3日間いようと思ったけど2日でほぼ限界だ。お疲れ自分。この素敵なグランドピアノをもっと触っていたいけど、やっぱりピアノはうまく弾けないなあ。昨日はひとりでジブリの曲たちを雰囲気で弾いていた。

ある程度のことはすべて努力と量でどうにかなるとおもってきた。楽器は練習すればまあまあできると思ってきた。なんでも空気を読んで自己犠牲を払えばうまく進むと思っていた。そのツケがいま、多分にまわってきている。

朝の海が美しいから、とつけられた名前だけど、ほんとは朝の海はうつくしいだけでない。荒々しくしぶきをあげ、霧で遠くが見えず、凍えるほど寒くかなしい場所でもある。

前にあの人がいったことが、ずっと忘れられない。人は、自分が好きなストーリーがあると、そういう人生になっちゃうんだよ。そういった彼と私のストーリーは、完全にあの小説の通りになってしまった。ガリガリ君梨味はえいえーん。思い出すだけで恐ろしい。

私は私のストーリーを書き換えなければならない。途中までうまく描いていたストーリーも、描かされていたと気付けばイチからやり直さないといけない。これは私による私のための物語だ。もうなにかに飲み込まれてしまってはいけない。

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