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ただそこに在るということ

知らぬ間に救われていた見知らぬ人の存在


これから週5日、リモートワークになる新しい環境に向けて、どうすれば元気なまま仕事を続けられるか試行錯誤、いろんな場所で仕事をしてみている。

ずっとお家で1人で作業をしていると、私の中であっという間に不安が大きくなり、次第に私の内側に向き、落ち込み始める。

まだ怒られてもいないのに、業務のダメ出しが聞こえてくる。

私がいないミーティングで、私の不出来を囁かれているんじゃないかと被害妄想が止まらなくなる。

結果、集中できていないので、業務効率が落ちているのだ。

これはまずいとカフェに行ったりコワーキングスペースに行ったりバイト先にすぐ顔を出せる場所でやったり。

今日1日作業していたスペースは、ほとんど周りに人がおらず、ほぼ1人きりだった。

場所が変われば病まないと思っていたけど、違うらしい。

どうやら私はただ同じ空間に見ず知らずの人がいるだけで安心している。

午前中まで私より早くから作業している女性の存在に励まされていたのに、午後になって帰ってしまい、そこからは短時間の滞在の人がちらほら現れるだけだった。

少し暗い気持ちを抱えたままの帰り道。

家に帰ってから夜ごはんには遅い時間。駅で食べて帰るかとフードコートに寄った。

ひとりきりで食べるごはんはそんなに美味しくも不味くもない。

けれど、座った席のすぐ横で、とても気持ちのいい接客をする韓国料理屋さんのおじさんの声が聞こえてきた。

「美味しく召し上がってください!」
素敵なめずらしい声かけをする店員さんに少し微笑ましくなったし、きっとスタッフにもいい人なんだろうな、と思った。

前を向くと、給水所があった。若い女性が1人、るんるんとした様子でふきんを取りに来ていた。

きっといつも楽しそうな子なんだろうと思った。

フードコートでごはんを食べながら、周りを見渡す中で、私は見知らぬ人に思いを巡らせることで、どんどん気持ちが明るくなっていった。

仕事を終えたあとの暗い気持ちはなくなり、いつも通りの私に戻っていることに気づく。

私は日常の中で、本当にただそこにいる人たちのおかげで、気持ちの元気を保っているのかもしれない。

ただ私はそこにいるだけでよかった

ある会員さんに、あと1カ月でアルバイト先を卒業するのだと伝えたところ、光栄なことに、今までの私の働きぶりについてお褒めの言葉をいただいた。

この場にとって私が欠かせない存在になっていたのだと。

欠かせない存在、なんて言葉を私は初めて聞いたし、それが自分に向けられた言葉であるとにわかに信じがたい。

それだけ恐れ多い言葉な気がする。

ただそこにいるだけで安心するし、背中押されるし、理解してくれるから大丈夫だと思える。そうなってくると、あなたは欠かせない存在になっていくんです、と。

本当にありがたいと思った。

そして私はただ私としてここにいるだけでいいんだと、いろんな人から伝えてきてもらったおかげで、やっとやっと自分で自分のことをそう思えている気がする。

過不足なく今の自分のままでいろんな人が私を好いてくれるという、自信なのかわからないけど、満たされている気持ちになっている。

人はただ在るだけでいい。

その意味がやっとわかったような気がする。

最後には自分が自分をそのままでいいと許してあげられれば、どこにいても大丈夫になるんだろうな。

まだもう少し時間はかかるけど、少しずつ私は変わっている。

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