「歩き巫女アズサの異世界巡礼旅 ~異世界からニホンに行く方法」企画書

キャッチコピー:


巫女アズサは自分のルーツである異世界『ニホン』を目指して巡礼の旅に出る

あらすじ:


巫女のアズサは、王子に婚約破棄され、無実の罪で処刑を言い渡させる。
アズサはスキル【口寄せ】を使って、千年前に死んだ勇者を身に宿して潔白を勝ち取った。
自由となったアズサは、自分と巫女のルーツである『ニホン』へと行くという小さい頃からの夢を叶えるため、異世界から勇者を召喚した女神を探す旅に出る。

目的地は女神が眠る元魔王城。
かつて勇者が魔王討伐のために通った思い出の場所を旅しながら、アズサは道中の町の人たちの悩みを【口寄せ】で解決していく。

最後の目的地では、千年前から続く魔族と人間の問題を解決したことで、復活した魔王と友人になった。 女神を見つけ出したアズサは『ニホン』へと辿り着く。

第1話のストーリー:


異世界から召喚された勇者の子孫である巫女のアズサは、王子に婚約破棄を言い渡されたうえに、処刑を宣告されてしまう。
理由は、勇者の生まれ変わりだという聖女が現れたから。
王子は平民であるアズサを捨て、貴族出身の聖女と結婚するつもりだという。

そもそもアズサが王子の婚約者に選ばれたのは、勇者の力を使うことができると『ジンジャ(神社)』から信託を受けたから。
アズサは勇者の力を受け継いでいることを買われて、王子と無理やり婚約させられていたのだ。

全ては聖女の陰謀だと気がついたアズサは、自分こそ正当な勇者の後継者だと、伝説の巫女にしか使えないレアスキルを発動する。

アズサは【口寄せ】というスキルによって、死者の魂を自らの肉体に憑依させることができる。
死者と意思疎通するだけでなく、その者のスキルを自由に使うことができるため、勇者の力ですら再現できる化け物級のスキルだった。

【口寄せ】を発動したアズサは、ご先祖である勇者タチバナを自分に憑依させる。
勇者しか知らない知識、そして勇者の【聖剣】のスキル使用したことで、アズサが勇者の力を使えることが証明された。
同時に、聖女が偽物だということがわかる。王族を欺いた罪で聖女は投獄された。

王子は勇者の力が使えるアズサと寄りを戻そうとするが、アズサは拒否する。
アズサは前から自分と巫女のルーツであった異世界の『ニホン(日本)』にいつか行ってみたいと小さい頃から憧れていた。
憑依させた際に勇者から『ニホン』へ行く方法があると教えてもらったアズサは、かねてよりの夢を叶えることにする。

この世界は、元々存在している西洋風の世界と、千年前に勇者が広めた和の文化が混在した世界。
異世界である『ニホン』に行くためには、勇者をこの世界に召喚した『天照の女神』に会う必要があった。
勇者は千年前、女神を『ジンジャ』に移住させたので、きっと女神は今もどこかの社で眠っていると語る。
女神に会えば『ニホン』に行ける。

アズサのご先祖は勇者。その勇者は異世界である『ニホン』から来た。つまり、勇者の故郷は自分のルーツでもある。
「自分のルーツを知りたい。だから私も、ニホンに行ってみたい」
アズサは勇者との約束、そして自分のルーツであり巫女発祥の地である異世界『ニホン』を目指す。
女神が眠っている特別な『ジンジャ(神社)』を探すため、歩き巫女として旅を始めた。


第2話以降のストーリー:


アズサは所属していた『ジンジャ』を退職して、フリーの巫女になった。
緋袴の巫女装束を身に包み、人魂となった勇者と共に女神を探す旅に出る。
だが、恥をかかされたと激怒している王子の意趣返しよって、アズサは路銀をすべて失ってしまった。

どうしたものかと途方に暮れていると、かつて勇者タチバナが創ったという町にたどり着いた。
この町には、勇者と同じ黒い瞳と黒髪の人間が多く住んでいる。
アズサも町の住人と同じ黒い瞳と黒髪だからと、領主の青年に歓迎された。

この町は『ニホン』の文化が多く残った場所であり、『ニホンゴ(日本語)』という古代文字で書かれた勇者の書物が多く残っていた。
勇者は千年前のことをあまりよく覚えていなかったため、役に立たない。イケメンらしいが、残念勇者だったのだ。

巫女であるアズサは『ニホンゴ』が読めるため、領主の館に眠っている書物から女神の居場所の手掛かりを探す。
その際に、この町の領主の父である前領主が急死したことで、領主一族に伝わる『ノリト(祝詞)』が継承できずに、困っていることを知った。前領主の喪が明けるまでに領主が『ノリト』を唱えないと、『カミサマ(神様)』を怒らせてしまい、町は凶作になる。
アズサは、死者の魂を自分に憑依させるスキル【口寄せ】を使い、前領主を憑依させた。その結果、『ノリト』を新領主に受け継がせることに成功する。

新領主からとても感謝され、報酬を貰うアズサ。
死者と会話をする【口寄せ】の力は穢れていると周囲の人間に言われて育ったアズサにとって、【口寄せ】で感謝されたのは、これが初めてだった。
アズサはこの力を使って人助けをしながら、旅をすることを決意する。

領主の館の書物によると、勇者タチバナがかつて魔王を倒した場所に、女神が眠っていることがわかった。
つまり目的地は、魔王が封印されているという元魔王城。
アズサは、かつて勇者が千年前に通った道をなぞるように旅をしながら、死んだ勇者の思い出の地を巡る。

「ニホンには、空飛ぶ馬車や、瞬間移動する手紙があるのね!」と、勇者から教えてもらった知識をもとに、さらに『ニホン』への憧れを増す。

アズサは旅をしながら、立ち寄った町の住人の問題を【口寄せ】のスキルを使って解決していった。
死者の言葉を話すことができるアズサは、最初は町の人に気味悪がられたが、町を出るころにはいつも感謝されていた。

次第に、歩き巫女アズサの名声は王都にいる王子にも届く。
アズサの活躍が面白くない王子は、アズサの旅を邪魔する刺客を送りつける。

王子からの刺客、牢獄から脱走した聖女、魔王軍残党の襲撃など、アズサは様々な問題に直面する。
だが、アズサの【口寄せ】と勇者の力、そしてアズサに助けられた人たちの協力もあり、それらの苦難を全て突破することができた。

いくつかの国を超えて旅を続けていると、最後の目的地である国で魔王が復活したという報せを受ける。
その国の王都は、かつて魔王城があった場所。
襲ってくる魔物を追い払いながら、その国の王都へとたどり着いた。

王都は魔王に支配されており、アズサは【口寄せ】で魔族を憑依させて、魔族に変装する。
調査の結果、王都の『ジンジャ』に女神がいないことが発覚した。
代わりに、魔王を封印していたはずの社が壊れていることがわかる。『ジンジャ』に魔王を祀ることで千年もの間封印をすることができていたのに、その『ジンジャ』が朽ち果てたことで封印が解けていた。『ジンジャ』は信仰を失っていたため、魔王が怨霊となって復活したのだ。
魔王を再び封印するためには、魔王を倒すか屈服させるしかない。

だが、怨霊となっている魔王は実体がないため、倒すことは不可能だということがわかる。
実体がない魂であるならば、【口寄せ】が使える。
アズサは魔王を自分に憑依させた。
そこで、魔王の真の目的を知る。

魔王は、平和を求めていた。
千年前、魔族の国を侵略してきたのは、人間側だったということが発覚する。
しかも勇者タチバナは、その人間側の陰謀に利用されて召喚されたこともわかる。

復活した魔王は、行き場を失った魔族たちの住処となるように、この国を支配していただけだった。
魔王と魔族は、どこにも行き場がないだけの、善良な存在だったのだ。
アズサは魔王の怨霊を鎮めるために、新天地に魔族の国を創ることを決意する。

秘境と呼ばれる人間が誰も近寄らない山奥に移動すると、アズサは勇者の【聖剣】を使ってその地を開墾した。
魔王軍残党の魔族とも仲良くなり、彼らと共に新たな国を建国する。

人間の国を救っただけでなく、魔族たちが安心して暮らせる新天地を誕生させることができた。
このことがきっかけで、アズサは魔王と友人になる。
人間と魔族は平和条約を結び、戦いは終結した。

だが、女神の行方はわからない。
落ち込んでいるアズサに、勇者と魔王は「この秘境こそ、千年前に我らが最後に戦った場所だ」ということを打ち明ける。
千年前、魔王は勇者との戦闘で魔王城と配下の民に危害が加えられないように、勇者を辺境の地まで誘導していた。そのため、魔王最後の場所はこの秘境だったのである。

魔王の協力もあり、アズサは山奥で『オクノイン(奥の院)』と呼ばれる小さな祠を発見する。
その祠こそ、勇者を異世界から召喚した『天照の女神』が眠る『ジンジャ』だった。

女神は、勇者や魔王以上に強力な存在なため、簡単に【口寄せ】で会話することができない。
そこで、かつて領主の館で読んだ書物を思い出す。その文献に載っていた女神を下ろすための特別な『ミコカグラ(巫女神楽)』を披露したアズサは、『天照の女神』をこの身に下ろすことに成功した。

女神と自由に話すことができるようになったアズサは、異世界である『ニホン』に行かせてもらうよう女神に頼む。
だが女神は力のほとんどを失っており、異世界への道を作るためには自分の信仰心を取り戻さなければならないという。そのためには、女神を祀る立派な社を世界中にたくさん建てる必要があると。

アズサは、女神の信仰心を回復させるために、これまで助けてきた人たちに協力を申し込む。
その結果、これまでアズサが通ってきたすべての町に新しい女神の社を建てることができた。

信仰心が戻った女神は大いに喜び、アズサとの約束を守るために自分を憑依させろと命令する。
女神を憑依したアズサは、女神のスキルを発動させて、この世界と異世界ニホンを繋ぐ『ヨモツヒラサカ(黄泉比良坂)』を生み出す。
女神は、「この道を通れば日本に行くことができる。けれども、二度とこの世界には帰れないかもしれない」と、アズサに告げた。

もう二度と、この世界に帰れないのは嫌だ。
だけどそれ以上に、勇者の故郷であり、そしてなにより自分のルーツである『ニホン』という場所に行ってみたい。
アズサは勇者との約束を果たすべく、『ヨモツヒラサカ』へと足を踏み入れる。

目を開くと、見慣れた神社の敷地に立っていた。
異世界に行くのは失敗したのかと思うが、神社の外に見たこともない高い建造物が建ち並んでいることに気が付く。
あれは異世界の建物で、高層ビルという名前だと勇者が教えてくれる。
アズサと勇者は、異世界である日本へと無事に降り立ったのだ。

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