Minase Kumi

アニメ・マンガと声優さんが好き。

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最近の記事

【物語】オレンジ色の背中

登場人物:2人 優(ゆう):陸上部・高校2年生。彩と付き合ってる。 彩(あや):陸上部・高校2年生。優と付き合ってる。 性別不問・語尾などの軽微な変更可・アドリブ可 1人複数役可・BGMなどの使用可。 ――――――――――――――――――――――――――――― 某日・日が傾いてきた頃の教室で…… 彩:優……ここにいたんだ。探したよ…… 優:なに?ボクに何か用? 彩:なに?じゃないよ。 どういうこと? 陸上……やめちゃうの? 優:…… 彩:なんで……なんで何も言

    • 冷たい秋雨と、化粧品と

      静かに降り続ける秋雨の音で、目が覚めてしまった。 淡く響いている雨音を聞いていると、普段は眠れるのに…… 今夜はなぜか目が覚めてしまう。 真夜中のあたし部屋。 そこそこ都会のワンルームマンションの1室は、雨が降っているせいか、ひんやりとしている。 少し前までの地獄みたいな暑さが嘘みたい。 ふと見慣れた部屋を見渡すと、あたし化粧道具が、薄明かりに浮かび上がっていた。 無造作に並べられたそこそこの値段の化粧品。 なんとなく手を触れると、冷たいガラス瓶が指先に触れ、 そ

      • 雨降る夜にモヒートを

        シトシトと降り続ける天気雨は、夜の静寂を優しく濡らしている。 街灯に映える小さな雨粒が、闇の中で金木犀のように輝いていて、夜空から降ってきた星のように見えなくもない。 海沿いなのに風はそこまで強くないけれど……その冷たさは、私の肌を刺しているみたいに感じてしまう。   そんな寂れたオレンジ色の小さな灯りは、歩道に溜まった小さな水たまりをほんの少しだけ照らしている。 雨粒がリズムを刻んで波紋を広げ、それがいつのまにか消えてしまって…… 永遠に繰り返されるその音は、常闇に静か

        • 秋の風は、まだ吹き続けている。

          ふと見上げた真夜中の空は、 どこまでも真っ黒で、小さな星の光すら隠してしまってる。 夜の静寂が辺りを包み、冷たい風が秋の気配といっしょに、夜の静寂の中を走り去っていく。 築20年くらいのワンルームマンションの小さな窓辺。 薄いカーテンが風に揺れてふんわりと舞い上がり、その隙間から何かが入ってきている気がする。 その冷たい風は、少し前までの夏の風とは、何かが違う。 いつのまにか夏は過ぎ去ってしまい、秋がすぐそこまで来ているみたい。 窓の外を見下ろすと、人気のない通りが暗

          ただ、雨が降り続くだけ

          雨が降り注ぐ休日の真昼。 この瞬間は、あたしがもっとも愛おしく感じる時間であり、同時に、憎たらしい時間でもある。 したくもない労働に従事して、よくわからないことをパソコンと一緒にごまかしている。 残業がないの夜とか、休みの日にはふらりとデパートまで赴いて、 SK-IIの化粧品を、無駄に美容部員さんとおしゃべりしながら買って、 それを消耗しながら、ついでにあたしの人生もムダに消費している。 そもそもあたし、なんでこんなことしてるんだろう? 休日はただ寝てるだけ。 ス

          ただ、雨が降り続くだけ

          ずっとこのまま、空を見上げていたい

          真夜中の静けさは、まるで別世界。 昼間の喧騒が嘘のよう。 今はただ、風の音だけが寂しく響いている。 不思議なことに、 真夏にも関わらず、空気はひんやりとしていて、肌に触れると少し冷たく感じる。 今日は1日中、社会の波に飲まれていた。 無数のメール、終わりのない会議、疲れきった笑顔。 みんなの前で怒鳴られても、それがとても理不尽だったとしても、 あたしは頭を下げなければならない。 じゃないと、またあたしが悪くなる。 謝る態度がなってないってね。 そんな世界から抜け出し

          ずっとこのまま、空を見上げていたい

          夏の夜が、近づいてくる。

          今日はいつもの夏の夕方より少し静かな気がする。 蝉の声は確かに遠くで響いていて、微かに涼しい風も、頬を撫でていく。 日中よりは少しだけ柔らかい太陽の光が、容赦なくあたしを照らしてくる。太陽はすごいよね。 なんにも考えず、輝き続けることができるんだから。 遠い昔に観た夏の夕焼けの美しさは、今でも鮮明に心に刻まれている。 オレンジ色に染まった空が、あたしを熱く包み込まれている。 その瞬間、世界はふたりだけのものになった。 思い出って残酷 消えそうで消えてくれない幻みたい。

          夏の夜が、近づいてくる。

          花火と風鈴

          夜空に咲く花火は、瞬く間に消えてしまう。 その儚さは、まるで恋心のよう。 なんだか数年前にちょっとだけ話題になったアニメ映画も、 そんなニュアンスの物語だった気がする。 みんな考えることは同じらしい。 けれどもしょうがない。 たとえ有名な映画のパクリみたいに言われても、考えていることが同じなんだもの。 夜空に打ち上げられた輝く花々は、色とりどりの光を放ちながら、まるで人々の心の中で燻る感情の火花のように色褪せている。 祭りの喧騒の中、私は似合わない浴衣を身にまとい、

          花火と風鈴

          失恋花火

          「ひと夏の甘い恋」 そんな言葉が日本にはある。 そんな淡い恋をしてみたい。 人はみんなそんなことを1度は言う。 恋に落ちるのは、多分難しくない。 だって相手のことを、自分が勝手に好きになればいいんだから。 そこに相手の意思は関係ない。 どんなにその人……あるいはその存在に嫌われていても、 興味関心を向けられていなくても、 なんならあたしという存在を認識されていなくても、 あたしが勝手に相手を知っていて、そのうえで好きになれば、 それはもう、あたしにとっては「恋に落ち

          いつまでも雨が降り続いてくれればいいのに。

          なんてことはない雨の日の夜。 窓の外に目を向けると、しとしとと雨が降り続いていた。 窓ガラスに当たる雨粒が、小さな音を奏でながら流れていく。 その音は、少なくともあたしには、心地よいリズムに感じる。 ベッドの中で本を読んでいたのに、いつのまにか雨音に耳を傾けていた。 薄暗い部屋の中、暖かな毛布に包まれながら、 雨音に身を委ねていた。 外の世界が雨一色に染まり、 自分だけの時間がゆっくりと流れるその瞬間は、騒々しくて生きていくのがツライ現代社会を生きるあたしに、安らぎをも

          いつまでも雨が降り続いてくれればいいのに。

          どうして、私だけが?

          真夜中の静寂が街を包む頃、気が付くとあたしは部屋のベランダに一人、ベタリと座っていた。 夜の香りがほのかにする。 月明かりが波間に反射し、淡く揺れる光の道を作り出していた。 遠くから聞こえる車が走る音が、心の奥底に無情に響いている。 あたしのスマホには、何千枚という写真が保存されている。 撮ったときはいい思い出になると思ってたんだろうけれど、ほとんど見返したりしない。 でも人生なんてそんなものだろう。 久しぶりにデータを見返してみると、幸せだった頃の記憶を閉じ込めた写

          どうして、私だけが?

          星降る夜にサングリアを

           月が煌々と輝く夜の砂浜には、穏やかな波の音が心地よく響き渡っている。その音はまるで、遠い昔からの囁きを波音に乗せて、誰かに届けてくれているように感じる。そんな海辺に、一軒のオシャレなカフェがひっそりと佇んでいる。  カフェの外には小さなテラス席があり、そこには温かな光を放つランタンが揺れている。ランタンの明かりがテーブルや椅子をほのかに照らし、波の音と相まって、何とも言えない癒しの空間を作り出していた。    外へ目を向けると、月の光が海面に反射してキラキラと輝いている。

          星降る夜にサングリアを

          月灯りが、やさしく照らす夜に……

          千夏:大垣八幡神社に住む神の遣い アカリ:稲荷神社の神様の遣い とある日の深夜 大垣八幡神社にて……     アカリ ……相変わらず美味しそうに吸うわね。そのキセル。     紅い振袖をひらひらと漂わせながら、どこからかアカリがやって来て、石段に座ってキセルを吸っている千夏に声をかける。 暑いからか、それとも静かな空間を邪魔されたからか、 千夏は少し不機嫌そうな顔をした。     千夏 美味しそうじゃなくて、美味しいのよ。 あなたもどう?   アカリ 遠慮しておくわ。 折角

          月灯りが、やさしく照らす夜に……

          夕焼けへの旅路

          通勤時間に比べればはるかに長い時間、列車に揺られながら窓の外に広がる景色をただ眺めていた。 流行の音楽を聞くわけでもなく、お気に入りの小悦を読むわけでもない。 ただ外を眺めていた。 閑静な住宅街を通り過ぎていると、 やがてどこからか海の香りが漂ってきた。 いつだったろうか…… 数日前の図書館での出来事。 ひとがたくさんいるにもかかわらず、シンとした静寂があたしには心地よかった。 読んだことのないエッセイを探して、大きな窓から差し込む柔らかな陽光に包まれながら図書館を探し

          夕焼けへの旅路

          雨の日の図書館

          雨音が静かに、いろんな場所を叩いている。 窓・屋根・道路・木々・傘…… この世界にあるすべてのモノを。   灰色の空から降り注ぐしずくが、図書館全体を包み込むかのように、優しくしみ込んでいる。   あたしはこの場所が好き。図書館の大きな窓から外を眺めると、雨粒が窓ガラスを伝って流れていくのが見える。涙がこぼれ落ちるようなその様子を見ていると、不思議と落ち着く。 人が泣いてる姿を見てそんなことを想うなんて最低だけど、もしかするとそれがあたしの本性なのかもしれない。   雨が、あ

          雨の日の図書館

          はじめての口紅

          誰にでも、初体験というのは必ずある。 そんなとき、大体は緊張してしまうモノ。 教習所での運転…… 切符を買って電車に乗る…… どれをとっても、やっぱり最初はドキドキする。 今じゃ何とも思っていないけれど、その時のことはよく覚えてる。 例えばそう、メイクとか。 ホントの最初は、ママの化粧品をコッソリ使う。 そして妙に感動して、自分のも欲しくなる。 その時、意外と化粧が落ちなくて焦ったりして……。 はじめてのリップは、確か高校生の頃。 それまで色付きリップでマセていた少

          はじめての口紅