被災地から離れた学生が思うこと。

1.震災発生

今回の熊本地震で、私は前震は経験しましたが、翌日に学会参加のため東京へ移動したので、本震は経験していません。

前震の翌日の熊本市は、時々余震があり、学校が休講になり、コンビニから食料がごっそり消えたものの、天気も良く比較的穏やかな日だったように思います。少なくともグループラインで冗談を言える余裕はありました。

東京に移動した日の夜中に、本震が起こり状況は一変しました。
停電、断水、亀裂…そして止まらない余震。Twitterのタイムラインでその混乱がダイレクトに伝わってきます。

「こわい」「30分くらいずっと揺れてる…」「生きてます」「もう1時間半揺れ続けてる」「○○小学校に避難した」「無事です。電池節約のため連絡いりません」

スーパーもコンビニもレストランも、大打撃を受けてほぼ営業不能。間もなく水不足や食料不足の問題が出てきました。

2.被災地とのギャップ

東京では人々が普通に生活している。でもネットの向こうでは仲間が被災している。私は水が飲めて、トイレに行けて、ご飯が食べられて、お風呂も入れる。余震を気にせず眠れる。このギャップがすごくしんどかった。気になって気になって、ニュースとSNSから目が離せず、3日くらいはあまり眠れませんでした。

もともと東京で組んでいた予定を、断るのもな…と、予定通り行き、相手に気を遣わせたら悪いからいつも通り振る舞い、楽しんでいても、ふとした瞬間に震災のことがよぎる。罪悪感のようなものを感じる。1人でいるときは常に熊本のことを考えてしまう。何もできない無力感に襲われる。。

私はたまたま熊本を離れるタイミングが早かったけれど、県外にある実家に避難した学生のほとんどは本震まで経験しています。本震後は断水、停電が続き食料もなく、余震が続いて避難せざるを得ない状況だったんです。きっと私よりも「逃げた」という感覚や、無力感は強かったと思います。

『実家に避難することで、1人分の水が、食料が他の人に回ります。これは大きな協力です。』
https://twitter.com/pittancoffee/status/721324553041883137
この言葉に救われたのは私だけではないはず。

3.県外の学生が募金活動をする理由

何かしたい。何かできることはないか。
そう考えた結果が地元での募金活動だったわけです。

熊本の大学には、九州各地から学生が集まります。特に医学部となると、日本全国から集まります。南は沖縄、九州全県、中国地方、関西、関東、そして北は北海道まで、同時多発的に募金活動が始まりました。

多くの方が温かく協力してくださる一方で、ごく少数ですが以下のような意見もありました。

「(特に離れている地域での募金活動に対して)ここまで来る飛行機代が無駄。そのお金を募金すればいい。」
「その時間でバイトして稼いで募金するべき。」
「学生はその時間勉強するべき。募金はしかるべき団体がすれば良い。」

このような意見は気にしないことが一番ですが、やはり気になってしまうもの。

1つ目。
ニュースとしては益城や阿蘇、熊本城が頻繁に取り上げられますが、そこ以外の学生の中にも、住居が半壊状態であったり、損壊がひどく部屋に住めない、度重なる余震で倒壊の恐れがある、といった理由から実家に避難している場合が多数ありました。(特に医学部の学生が住む本荘・九品寺地区では高い建物が多く、今回のような複数回にわたる大きな震度の揺れには弱く、他の地区と比べると医学生は受けた被害が大きかったようです。)
そんな状況の中で、自分たちが今いる場所でやれることをやっています。

2つ目。
4/24朝の時点で、鹿児島4日間で1080万、福岡3日間で200万、大分3日間で165万、島根2日間で115万、名古屋2日間で110万、大阪2日間で85万、沖縄1日で80万、東京2時間で20万、北海道3時間で20万という大きな寄付をいただきました。
私たちがバイトするだけでは決して集められない金額です。たくさんの皆さまのご協力に心から感謝しています。

3つ目。
「なにかやらないと落ち着かない」からやっています。仲間が被災しているってそういうことです。正直震災直後に勉強だけする気分になりません。熊本県内に残っている人はまだ避難所生活やボランティア活動をしています。そんな彼らが「県外でも頑張ってくれてるから県内の私たちも頑張れる」と言ってくれるんです。

つまり募金活動は熊本のためであり、同時に県外にいて何もできない自分たちのためでもあるということです。

そういう意味で金額の多寡は関係ありません。

じゃあやっぱりバイトしてバイト代を募金すればいいのか?

うーんそれはどうなんだろう…。私もそこは上手く説明できません。

ただ、募金活動で、多くの知らない人たちの思いやりや優しさを義援金として可視化できるのはすごくいいなぁと思いました。だって何百人もの方が募金してくれなければ、何十万、何百万なんて集まらないですよね。間接的ではあってもそれだけの方が気にかけてくれていることがわかる。そしてそれが、純粋に嬉しい。

寄付はしかるべきところにする、という方もいると思います。そういう方はしかるべきところに寄付していただければ嬉しいです。そこまではしないけど、少しは気になっている、胸を痛めてくれている方が、たまたま通りかかって募金してくれたら、それで良いのだと思います。

私たちは、全国で熊本のために支援・寄付してくださった、全ての方々に感謝しています。

4.最後に

ここ数日で色々と感じたこと考えたことを整理しつつ、この気持ちを忘れないようにと、書いてみました。

まだ熊本では余震が続いていますし、ライフラインが復旧していないところも多くあります。友人が「今夜は揺れませんように」とか「起きたら朝でありますように」と言っているのを見ると胸が痛み、1日も早く余震の恐怖から解放されるのを祈るばかりです。

熊本に住んで6年目になりますが、熊本は本当に良いところです。落ち着いたらぜひ色んな方に遊びに来てほしいなぁと思います。

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