2024.2.7日記

今日は文楽を観に行った。少し早く劇場に着いたので、併設のカフェでコーヒーを飲んでいると、隣の席の大学生の女性もこれから文楽を観るようで「心中」などという単語が聞こえてきた。聞くでもなく聞いていると、恐らく二人は大学の授業で作品を観てレポートを書く課題のために来ているらしい。

「この課題の出し方めっちゃ意地悪じゃない?」「A4で3枚程度って何文字くらい?」「わかんない」「原稿用紙換算で7〜9枚だって」「へぇ〜、え、原稿用紙ってなんだっけ?」「テーマについてのだって。え、テーマなんてあったっけ」「え、テーマ?テーマって作品のこと?」「え、作品とテーマは違くない?“心中”とかってことじゃない?」「えー、無理かもわたし」

大丈夫なのか。原稿用紙って言われて全然ピンと来てないし、テーマが何かわかってないみたいだけど。てか演劇を見てレポートを書く課題って、観劇費は自費なのだろうか。「レポートを書くか金で解決するかだったらどっちの課題がいい?」「絶対レポート書かないでしょ」とか言ってたけど、どういう状況なのだろう。自費で行ってレポートも書かされてるから金で解決することはできなかったのだろうか。

でも今こういう授業あったら取りたいな。観劇して劇評書いたのを大学の先生に見てもらえるなんて最高じゃない。そういう講座あったらそれなりな値段でも申し込んじゃうな。

肝心の文楽は今日は少し体調が微妙で終始ウトウトしてしまった。『艶容女舞衣』。心中物だが、なかなかに地味な演目であって見どころが難しかった。例によってしょうもない男が出てきて、妻とは別に結婚前から付き合っていた芸者と子供までもうけた上に殺人も犯してしまい、結局その芸者と心中する。マジでクソ野郎なのだが妻はすごく良妻で、その男のことを一途に思い、常に心配している。そんなわけあるかい。この妻の男のエゴってか妄想で作った妻すぎるだろと思ってしまった。

Wikipediaによると、人間国宝の七代目竹本住大夫は、

「・・・お園のあわれさを出そうと思ったら、やっぱり、宗岸、半兵衛、姑をじっくり語りこまんことには、お園が生きてきまへんのです。宗岸、半兵衛、姑がしっかりもりたててくれたら、自然とお園が目立ってくるんです。お園だけよかっても、宗岸、半兵衛、がまずかったら『酒屋』らしい、『酒屋』のよさが出ないとおもいますね」

Wikipedia『艶容女舞衣』

と言っていたそう。お園っちゅうのは妻ね。うーん、そういう意味では他のキャラも弱かったように思うなぁ。今日は通し狂言ではなく、見取り狂言だったっていうのもあるとは思う。まぁ自分が眠かったのが最大の原因ではあるが。