2023.8.28日記(のんびり夏休みと『推し、燃ゆ』)

今日から夏休み、水曜まで会社を休む。土曜から数えると全部で5連休。のんびりしている。昨日は今習っているお能の発表会があって、緊張と楽しさでハイテンションだったのだけど、それについてはまたの機会に書こうと思う。

本屋さんで本を1万円分くらい買いました(本というのは爆買いしても罪悪感ないのはなんでだろう)。

今日は宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』を読んだ。

以下ネタバレ。

 主人公の女子高生・あかりはおそらく発達障害があり、勉強もバイトも家事も人と同じようにできない。しかしアイドル上野真幸を推すことに関してだけは、人並み以上の集中力と器用さを発揮する。自分との真幸と自分に共通点を見出したことが推し活のきっかけであったが、徐々にエスカレートし、自分と推しの境界がなくなるほどに同一化しようとしていく。しかし推しは炎上をきっかけにどんどんと表舞台から消えていき、あかりの生活もカタストロフに向かっていく…。

 社会的に弱い立場の女性が主人公となるのは、村田沙耶香の『コンビニ人間』や今村夏子の『こちらあみ子』など、近年多い傾向に思う。(あくまで私の少ない読書経験からの感想だが)ただ、私が個人的にそれらの作品より『推し、燃ゆ』が面白いと感じたのは以下の2点。

固有名詞のユーモアセンスが光っていること。
主人公が推してるアイドルバンドのグループ名が「まざま座」。推しが出演して人気が出た映画のタイトル「ステンレス・ラブ」。バンドの新曲「ウンディーネの二枚舌」の歌い出し、「水平線に八重歯を喰い込ませて」とか普通に読んでて笑える。大喜利強い。

文章が抜群に上手くテンポがいいこと。
筆者である宇佐見さんの好きな作家は中上健次らしいが『十九歳の地図』読んだ時と同じ感覚の疾走感があった。主人公の内面には壊れやすさと同時にマグマのような情念のパワーがあり、ところどころで他と比べて硬派な文章とともにそれが放出されるところが実にかっこいい。

こういうのも中上健次っぽいなと思った。すごく面白かった。