2023.10.11日記

国立劇場10月歌舞伎公演「妹背山婦女庭訓」〈第二部〉を観た。

菊之助のお三輪、誤解を恐れずに言うとめちゃくちゃエロかった。「俳優というのは常に性的な目線で見られている。」ということを最近聞いたけど、こういうことかー、ってなんか実感した。お三輪は田舎娘なのだけど、そうとは知らずに中臣鎌足の息子である藤原淡海と恋仲で、蘇我入鹿の妹と淡海を巡って三角関係になってる。入鹿の妹と淡海の婚礼を止めるために入鹿の宮殿に乗り込むんだが、官女たちに止められる。官女たちはめっちゃ意地悪で、お三輪が田舎者で姫の恋敵とわかるや、宮廷の作法を無理やり教えたり、歌を歌わせたりして散々お三輪をいじめる。このイジメのシーン、お三輪が本当に悔しそうで、でも愛する男のためには屈辱を耐えしのぶのだが、ここの菊之助が熱演で、悔しそうな表情が美しく、SM的なエロスが全開であった。

8月に観た前半もそうだったが、やっぱ妹背山って変な作品だよな。無茶苦茶なことが平気で起こる。蘇我入鹿はラスボス感満載だし、剣が急に龍になって飛んでったり、入鹿の弱点が「嫉妬に狂った生娘の血を染み込ませた笛」だったり、ちょこちょこぶっ飛んだ設定を入れてくる。今日一番ツッコミ入れたかったのは、最後に出てくる中臣鎌足の武器が「鎌」っている。鎌足やから鎌なん?!ダジャレ?え、ふざけてるよね?っていう。生娘の血入りの笛と、三種の神器の鏡で入鹿を追い詰めた後、最後は鎌足が鎌で首を切ってめでたしめでたし、、ってマジで変!