ロンドン生活215日目

住んでいる寮に流行病が舞い込み、一時騒然となっていた昨日から一夜明け、いつにも増して寮内は閑散としている。話によるとどうやら、別のフラットの誰かが連れ込んだ友人が検査で陽性だったようで、彼らは今自分の部屋に自主隔離という名で軟禁されているらしい。自分たちの寮に感染者が出たというメールが来たことで、居住者の多くが即座に荷物をまとめて出て行ったようである。フラットメイトのアメリカ人の女性曰く「メールが来た10分後には大きな荷物をさげてちょうど出て行こうとしている人がいて笑ってしまった」という。誰しもがその知らせに動転し、あたふたしたが、1日経ってから残ったのは、他に行くあてもなく、とにかく平穏にことが終わることを待つ人々である。私はといえば、日本から救援物資ならぬ”選書”が届けられ、渡りに船とはこのこと、とばかりに部屋に引きこもり読書をする算段である。エッセイも書かねばなるまいし、ちょうどよい。

世間が急いていると自分も何か神妙な表情を作らないといけないように思うが、そんなことはない。自分の今やるべきことをいつも通りやっていればいいのだと思う。特別なことをするのであれば、いつもより少しだけ、誰かに笑顔で挨拶でもしてみたらいいのではないかと思う。

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