2024.3.26日記

今日はPARAの「演技の教室」最終回でした。今日発表した方はサラ・ケインの『サイコシス』をされていた。自分自身の治癒、ある種のセラピーとしてテキストと付き合っていたのが印象的だった。観客側からみると、それは儀式か呪術的な営みに見え、それを利用して観客が演技者の言葉を反復するという方法を試した。演技者から観客へ、「私とは逆向きに座って欲しい」という要望もあったので、観客から演技者が見えない瞬間も多く、発せられる言葉も極端に小さいため、今、誰が喋っているのだろう?という状況になっていったのも面白かった。儀式の中で言葉を発する主体がぼやけていく感覚というか。

後半、アルコールや薬物依存症の方などの治療に用いられる互助サークルの方法を使ったワークも行った。輪になって座り、1人ずつ自分の体験を喋っていき、それに対して聞く人は傾聴し、絶対に否定はしない。相手の言うことに対し、頷いたり、肯定する態度をとる。私は演技者の近くに座っていたため、かなりの割合を私に向けて話された。『サイコシス』の台詞は極めて抽象的かつ暗澹としているのだが、それをかなりアグレッシブに話してこられ、傾聴するという態度をとるのが大変だった。「一致団結した意識が棲まうのは暗闇となった大広間天井近くの床が一万匹のゴキブリに変じるとき…」みたいな台詞に対し、「うん」「えぇ」「うんうん」みたいに相槌を打っていたがあまりにも訳がわからないので吹き出しそうになったが、「この人は今真面目な話をしてるんだ、絶対に笑っちゃダメだ」と自分に言い聞かせ必死に笑うのを堪えた。

演技が終わり、観ていた方々から「演劇が生まれてた」「ちょっと笑いそうになってるのがリアルだった。軽度の依存症の方が軽い気持ちでセミナーに参加したら、重度の患者とペアを組まされてめちゃくちゃ来たことを後悔してる感が出てた」と好評だった。講師の方からも「いやちょっと私もそんな演技できるようになりたいな」と言われて内心うっひゃー嬉しいと上機嫌になった。褒められるとその気になる単純な性格だ。

楽しかったこのコースも終わってしまった。来年度また別のやつを取るか、うーん、一旦PARAからは離れて、次のやるべきことに進むか。とりあえず英語だよな。うん、わかってる。ちょっと気合い入れ直して頑張るか。

ちなみにPARAの「演技の教室」は来年度も開催されるよう。ぜひおすすめです。