2023.10.16日記

一昨日、カクシンハンの『シン・タイタス』を観た。カクシンハンとは2012年に旗揚げした劇団で、古典戯曲、最近は主にシェイクスピアの翻案作品をやってる劇団。今回はシェイクスピアの初期の悲劇「タイタス・アンドロニカス」の翻案作品だった。川口市の工場地帯の中にある巨大な倉庫の中に舞台が組まれてた。

私はタイタスの話の筋とか全然知らなかったんだけど、子供の頃になぜかタイタスの演劇で見て、人肉を食わせたりする、むちゃくちゃグロい話ってことだけは覚えてて、グロいの苦手だから大丈夫かなーと思っていたが、作品のスタイルは結構エンタメ性強めで、音楽ガンガン、ダンスしながら両腕を切り落としたりする感じだったので全然いけた。

チラシとかには「異種格闘技」とあったように、出演者には様々な芸術ジャンルで活躍されてる方々が揃ってた。主人公のタイタスは金春流能楽師の山井さんだったり、狂言回しの役に落語芸術協会の三遊亭遊かりさんだったり、SPACの俳優さんやオペラ歌手の方など多彩だった。全体的に能の要素が強めで、話の構成も夢幻能の形式がとられていた(倉庫にやってきた少年が「カラスと呼ばれる男」と出会ったところから、少年の夢としてローマの世界が立ち現れる)。

現代演劇に安易に能のパロディを取り入れるとスベるってのはあるあるなんだけど、この「シン・タイタス」でもともすればそっちになりそうなところを持ち堪えて、最後のタイタスの復讐シーンでは能の謡いや舞が効果的に活かされてて良かった。本物の能楽師がやると、やっぱりサマになるんだなぁ。自分もお能の稽古がんばろうと思った。