2023.9.8日記

今日は会社のトイレにゴキブリがいた。朝、大便器のところに佇んでおり、昼になると小便器の横に佇んだ。夕方になると洗面台のあたりで死んでいた。殺されたのだ。

私とゴキブリの戦いの歴史は高校一年の頃に遡る。布団で寝ていた私は指先の激痛で跳ね起きた。見ると指の辺りにゴキブリがいた。殺意がわいた。私はすぐさま部屋の電気をつけ、殺虫剤でそいつを殺した。

ゴキブリを自ら触りにいくことはないが、ゴキブリの方から私に触れようとしてくる。

大学の頃、実家の風呂から出ようと風呂の扉を開けると、上から一匹のゴキブリが降ってきて私の肩を掠めて下に落ちた。殺意がわいた。裸にバスタオル一枚巻きつけ、殺虫剤でそいつを殺した。

会社を辞めて無職だった頃、実家はゴキブリ屋敷であった。

ある日の夕方、一階のリビングでゴキブリを見た。私はすぐさまクローゼットから殺虫剤を取り出したが、さっきの場所にそいつはいなかった。その夜、二階の部屋で寝ていると腕の上を何かが這う感触がした。私は直感的に「さっきのゴキブリだ」と思った。殺意と共に飛び起き、獲物を探したがそいつはもう見えなくなっていた。一階に殺虫剤を取りに降りると、何やらカサカサという音、何かが蠢いている気配がした。

「台所の方だ。」

ゴキジェットを握りしめ、恐る恐る台所の電気をつけると、流し台の三角コーナーのところが真っ黒になっていた。「畜生め!」

恐ろしさはなかった。今まで指を噛まれたり腕を這われたりした屈辱感がまず蘇り、こいつらを殺さなければならぬと決意した。三角コーナーの黒だまりめがけてゴキジェットを噴射した。獲物は散り散りになって逃げた。私はすでに敵を殲滅するという使命感に支配された兵士となっていた。「逃げおおせられると思うな!」一、二、三、四、五、六、、四方八方へと逃げていく者たちを背後から次々に銃殺した。私は自分の射撃のうまさに酔いしれた。部屋のあちらこちらに散乱した死体をテッシュに包んでゴミ箱に捨てた。「戦いは終わったのだ」私は安堵のため息をつき、念入りに手を洗ってから床についた。

今日ゴキブリを見て、自分とゴキブリの熾烈な争いについて思い出したのだった。殺したゴキブリたちの怨念にいつか復讐されるのではと、ビクビクして暮らしている。