ロンドン生活20日目

まじ?もう20日も経ったの?はやい!

とタイトルを書き出して驚いた。今週は講義の要約を書くテスト、mapping the city のポスター制作とプレゼン、1500wordsのエッセイのドラフト提出と課題が盛りだくさんでなかなか忙しかった。その間に銀行口座を開設したり、日本人の学生に初めて会ったり、自分の英語力のなさに落ち込んだり、日本食が恋しくなったりした。あと、夜道で屈強な黒人の男性に「私は今日の寝る場所がなく困っている。10£あれば寝床にありつける。優しい人を探している」と突然話しかけられ、身なり的にはどう見ても貧しい感じには見えなかったが、普通に怖すぎて5£を渡してgood night!といって去った。どう対処したらよかったのだろう。

あと、楽しいことといえば講義を聞くこと。今週の講義の内容はボードリヤールだった。

全てを記号として消費するポストモダン社会においては、コピーはコピーを生産し続け、オリジナルは消滅し、全てがシミュラークル(オリジナルなきコピー)に変質する。そこでは我々はもはや現実世界を生きてはいない。リアルの存在しない世界、つまり我々はハイパーリアルを生きている存在である。

スライドではデュシャンの『泉』、『トゥルーマン・ショー』、『マトリックス』、ディズニーランド、テレビゲームやSNSが紹介され、いかに世界はシミュレーションされるかが論じられた。またこの講義によって、先日見たシンディ・シャーマンの一連の作品はボードリヤール思想を元に解釈されるのだということを知った。知識はつながっていくものだ。

授業中、ふと5年前文学部一階第一講義室で受けていた吉岡先生の美学講義を思い出した。吉岡先生はいつもキャップを被ってうつむき気味で教室に入ってきて、ぽそぽそと世間話をするように難解な思想や時事の問題、そしてその関連性について話した。その頃よく分からなかった話の流れが、27歳の今ロンドンで受けた講義によって少しだけ紐解かれた気がした。こっちで学んだ基礎知識を持って、もう一度吉岡先生の講義を聞きたい気持ちになったが、時は戻らない。

月曜日はバンクホリデーなので、今週は三連休である。本を読んだり町に出たり、英語の勉強をしたりしたい。