お茶碗の絵柄、ティーカップの底

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おいしいごはんを食べて、最後の一口を頬張ると、

からっぽになったはずのお茶碗に、かわいい絵柄がひょっこり顔を出す。

おやおや、こんにちは。と、戸惑いながらもご挨拶。


食器の底に描いてある絵柄は、単に器の彩りのためだけの存在ではないような気がする。


ごはんが盛られている時、ミルクティーがたっぷり入っている時、

その底は、何も見えない。

でも、自分が食べたり飲んだりすることによって、底と自分との距離がだんだんと近づいていく。

そして最後、ずっと隠れていた底の絵柄に出会う。


底の絵柄ちゃん「早く私を見つけてー!」

私「そこにいるんでしょ?食べるからちょっと待っててー!」


こんなに赤裸々に語るのは恥ずかしいけれど、

底の絵柄ちゃん と 私 の間に、待つ・待たされる関係が、こうして生まれた。


食器を作る人は、どのような気持ちでここに絵柄を描いたのだろう。

いや、確実に、このドキドキの出会いを想像しながら描いたにちがいない。

してやられた!!!

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