手ぶらであること

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先日、地元でちょっとしたものを買いに行ったときのこと。

私は携帯とお金を服のポケットに入れ、手ぶらで街を歩いた。


うわ〜、変なの。


と思うのは当たり前で、私はいつも荷物が多いタイプの人間なのだ。

あれがないと心配だ、きっとこれも必要になるはずだ、そういう自分なりの根拠をつけては、どんどんかばんに詰め込んでいく癖。

家を出るときには、かばんはもう満杯である。


そんな私が、今日は何も持っていない。

そりゃ変に決まってる。

でも、変だけど気持ち良かった。

なんでも受け止められる気がした。

なんでも吸収できる気がした。

澄んだ空気も、観光客のにぎやかな話し声も、なにもかも。

あと、寄り道したくなる率が上がった。


物理的に手がいっぱい(あるいはかばんがいっぱい)なだけで、私の気持ちも行動も、こんなにちがう。

たぶんそれは、なにかを持ちたくて、私の持ち物(になるであろうもの)を探しながら歩いているということなのだろう。

いろんなお店に寄り道しては、私の手元においで、という気持ちで商品を眺める。

手ぶらになることは、待つことなのだと思う。

待ちの体勢になれる、簡単な魔法だ。

これからは、アイデアのネタを探すときは、手ぶらで歩こう、

決めた!

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