工事のしるし

0731


よく、工事中の駅なんかに、工事のしるしがついている。

チョークのような白いもので書かれた、数値や「消火栓」なんていう文字たち。


あ、いずれここに、消火栓が置かれるんだな。


そう思った瞬間、いつか来るであろう未来に思いを馳せていた。

白い文字の書かれたこの床は、未来が書かれた床なのだ。


ここに書かれたしるしは、ここに実際にモノが出来上がることを待っている。

もちろん、モノが出来たとき、このしるしはいなくなっちゃうのだけど。

待っているのに、待ち人が来ると自分は消えちゃうだなんて、

なんて切ない話なんだろう。

それでもこのしるしは、待っている。


そしてそれに気づいてしまった私は、

この工事が終わることを待ち望むべきか、まよう。

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