3年ぶりのトウシューズ

 3年ぶりにトウシューズを履いた。履けた。履けたことに驚いた。3年前に履いてたものが、今のわたしの足にもなじむ不思議。トウシューズはわたしが履くのをずっと待っていてくれたんだなと思った。
 ポアントで立ってみた。不思議なことに、「なつかしい」とも、「あ〜これこれ!」とも思わなかった。かといって、初めてトウシューズを履いた幼い頃のような、新鮮な感動もなかった。
 トウシューズを履くことが過去の思い出になってしまったわけでもなく、ゼロに戻ってしまったわけでもない。今は3年前の「つづき」なのだ。そしてこれからもつづいていく。
 跡って、忍耐強い。過去をなかったことにしないし、いつでもそこから再開できる。わたしが寄り道していても、そこで待っていてくれる。ゼロからやり直しって、ハードル高いから逃げがちだけど、跡が待ってくれれば、ゼロになることはない。トウシューズで踊っていたあの頃の感覚は、確実にわたしの身体に染みついている。

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