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プログレッシブ(ラン)

 昨日、コーチにプログレッシブという名前の意味を初めてちゃんと教わったので、自分のためにも記録しておくことにする。プログレッシブは、一般的にはランと呼ばれることの方が多い。

 ランは、フォアクロスとよく似ているが、円の外側の足をクロスさせるのではなく、前に出す動きだ。ランとクロスの違いは前回のこちらも参照。ランは、アイスダンスと同じようなアーティスティック・ローラースケートのダンスのエレメントになる(※ローラーダンスというのはまた別のジャンル)。

 残念ながらローラースケートでランを実演している動画はまったく見つからなかった。アイスでも少ないようだが、いくつか見つけたので紹介する。

↑ キセニヤとオレグの動画。ランを実演しながら、ついでにカップルで滑る時の4つのホールドの方法も説明してくれる。まず最初は、片手を繋いで滑る方法。そこからキリアンホールド(男性が女性の腰を持つ)、フォックストロットホールド(後ろの肩を組む)、最後にワルツホールド(女性は後ろ向き)。


■フォアのプログレッシブ(ラン)のやり方

1)(反時計回りの場合)右足でプッシュ

2)ANDポジション(※両足を揃えて膝を曲げる、すべての動きを始める前の基本ポジション)。

3)右足を少し前に置く。同時に左足は右足のすぐ後ろを通って円の外側にプッシュ

4)左足を抜いてANDポジション。抜く足で最後に残るのは左足の小指をイメージ。

これを繰り返す。時計回りの場合は反対の足で。

 うちのコーチには、(時計回りの場合)左足を円の外側へプッシュする時には、あまり外側へ伸ばしすぎないようにと指導される。フリースケートのクロスとは違い、ダンスの場合はカップルで滑った時に下手したら横にいる相手を蹴ってしまうかもしれないからだ。もちろんソロで滑る場合も(アーティスティック・ローラースケートのダンスはソロ競技もある)、同じ技術とスタイルが要求される。プッシュするのはだいたい自分の体の下まで、だそうだ。

 ランの動きには、プログレッシブ、そしてノンプログレッシブの動作が組み合わさっている。プログレッシブの動作というのは外側の足が前に出て、内側の足が後ろで円の外側にプッシュする動き。ノンプログレッシブの動作というのは、プッシュする時に足が前に出ない、それ以外のすべての動きのこと。ランの動きでは、「ANDポジション(両足を揃える)」から、普通のストロークと同じように外側の足をプッシュするまで。そして、後ろ足でプッシュしながら前の足がプログレッシブする(前に出る)動作が含まれるから、この動きがプログレッシブとも呼ばれるのだそうだ。ダンスでは、ラン以外の動きでプッシュする時に足が前に出てはいけないという決まりがある。ストロークは常に、ANDポジションから後ろ(横は×)にプッシュする。


■バックのプログレッシブ(ラン)

↑ こちらも、キセニヤとオレグの動画から、バックのプログレッシブ。バックの場合は、まったく別の動きになる。ところが、これでカップルでフォアのプログレッシブをする人と一緒に滑ると、この動きがピタッとはまるのだ。カップルで滑るとどうなるかは、先ほどのフォアの動画をもう一度見て欲しい。

 外側の足はインサイドのエッジ、内側の足はアウトサイドのエッジに乗る。横にプッシュせず、ほんの少しだけ踵をを円の外側へひねって前にプッシュしながら十分なパワーを得る練習をする。それぞれのプッシュの前には、しっかりとandポジションをとること。


追記:正しいランは6輪方式

 中級のダンスレッスンに参加するようになってから、私はランをかなり直された。アーティスティック・ローラースケートのダンス(ローラーダンスとは別物)でも、アイスダンスと同じように各ステップの正確さが要求される。正しいランは、6輪方式なのだそうだ。一番最初に書いた「ランのやり方」に付け加えるとこうなる(追加部分だけ太字で記述)。

1)(反時計回りの場合)右足でプッシュ。

2)ANDポジション(※両足を揃えて膝を曲げる、すべての動きを始める前の基本ポジション)。このANDポジションでは6輪だけ床につく。体重は左足に残したまま、右足はインサイドの2輪を床につく。

2)右足を少し前に置く。同時に左足は右足のすぐ後ろを通って左アウトサイドの2輪だけを残しながら円の外側にプッシュ。つまり、プッシュする時床についているのは6輪だけとなる。

3)左足を抜いてANDポジション。抜く足で最後に残るのは左足の小指をイメージ。

 最初からここまで正確に6輪でのランをするのは難しいので、あえて一番上に書いた部分はそのまま残して、この追記部分に正しいやり方を追加しておく。


追記その2:ダンスでのカウントのとり方=ランは1ビート

 ランはカウントが早い。例えば反時計回りのフォアで、

   左アウト、右アウト、左アウトをゆっくり2ビートずつ

   1and、2and、3and(いちとー、にーとー、さんとー)

   (♩、♩、♩)

   (ターン、ターン、ターン)

と来ても、コーナーでランが入ると

   左アウト(1ビート)、右前に置く+左円の外側へプッシュ(1ビート)、左アウト(2ビート)が

   1,2,3and(いち、にっ、さんとー)

   (♪、♪、♩)

   (タ、タ、ターン)

となる。つまり、「左アウト」、「右前に置く+左円の外側へプッシュ」の部分はそれぞれ半分の1ビートになり、この2つの動きを合わせて2ビートの長さになるのだ。違う書き方をすると

   2ビート<左アウト、右前に置く+左円の外側へプッシュ>、2ビート左アウトが

   1and,2and(いちとー、にーとー)

   (♩、♩)

   (ターン、ターン)

となる。

※1ビートとは? 1ビート=1拍、ワンカウント で、いち、に、さん、し、とリズムを数える時の1カウント。


追記その3:軸足の靴の周りを通ること

 今日も、またしてもランを直された。つい、テンポが速くなるとプッシュしてからそのままスケーティングレッグを前に持って来て着地させていたのだが、正しく美しいランは(反時計回りの場合)

 プッシュ(右)→スケーティングレッグ(右)を軸足(左)の靴のすぐそばに持って来て6輪でANDポジション、(左)靴の真横から(左)靴の周囲をなぞるように、回りこむように移動させ、前に出して全部のウィールを着地する。→同時に軸足(左)を円の外側にプッシュ(床に着地しているのは6輪)

 これは、ダンスではペアで踊る時にすぐ真横にパートナーがいるため。できるだけ軸足に近い位置で横に広がらないようにしないと、うっかりパートナーを蹴ってしまうことになりかねない。ソロで横にパートナーがいなくても、もちろん同じことが要求される。

 ちなみフォアのクロスフロント(フォアのクロスオーバーにあらず)も、同じように(左)靴の周囲をなぞるような感じでスケーティングレッグ(右)をクロスさせるそうだ。


追記その4:重心移動

 今日はできるだけ軸足に近い場所でANDポジションを取ってからランをするように心がけたら、プログレッシブの状態の時(前に右足が出た状態の時)に「重心が前足にしっかり乗ってないよ」と注意された。ANDポジションでやや軸足(左)に重心が残っている状態のままスケーティングレッグ(右)を足だけ前に出してしまい、重心が前に移動しきっていない状態でランをしていたみたいだ。足を遠くから前に直接持ってくる今までの間違ったやり方だと、もっと前に踏み込む感覚があったのだが、ANDポジションを挟むとどうも勝手が違う。

 ランをするときは、きちんと重心を前に移動する(←自分に言い聞かせ中)。

 ※ただし、プッシュするまでは重心を後ろにも残しておき力強くプッシュする必要がある。前に重心が乗りすぎるのも×。 


追記その5:実際のパターンの中でランが入った見本

 先日、あのトリノオリンピックに出場した元アイスダンスの木戸章之選手の動画でとても良いものがあった。

↑ 木戸章之選手の動画。愛弟子の枝村優花選手とクイックステップを滑っているそうだ。パターンの最初にLFO、RFIシャッセ、LFOときてラン(RFI-Pr)が入っている。クロスビハインドでバックアウトしながら4ビートとって足を大きくあげたあと(XB-RBO)のフォアイン左、右で次にもラン(RFI-Pr)が入る。スローモーションでの動きの解説などもあってとても分かりやすい。ランのカウントのとり方もよく分かると思う。


追記その6:一つ一つの動きを分解して練習

 今日、コーチにやらされた練習がとても良かった。ランの1つ1つの動きを分解して、各動きを数秒ずつかけて滑って(滑るスピードは落とさないで、動きを一つ一つ止めながら)、正しい動きを体に叩き込ませてから徐々に早くしていく。

①(反時計回り)左アウトで右足をプッシュ、ホールド。膝は曲げたまま。

②右足を左足の真横に持ってきて6輪になる。この時膝をくっつける

③右足を前に滑らせて8輪になる。(この練習の時は8輪状態でOK)

④左足を円の外側(といっても自分の体の下まで)にプッシュ。アウトの2輪でプッシュし、最後に小指が残るイメージだが、プッシュする時はしっかり後輪も一緒にプッシュ。

 プログレッシブした前足は、つま先側に重心をかけすぎるとブレーキとなってしまう(スケートというのは、前進する時ヒール側に重心がある方が進む)。そのためにも、プッシュする時に少し左足に重心を残してしっかりプッシュする。


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