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ローラースケート世界大会2021:⑦フリースケーティング(女子)

 さて、いよいよフリースケーティングについて。アーティスティック・ローラースケートの競技の華、メイン競技といえば、やはりこのフリー競技だろう。アイスのいわゆるフィギュアスケートに似ているのが、このフリースケーティングだ。

 ただローラースケートは、アイスとは競技も用語も似ているようで微妙に違うので、ちょっとややこしい。そのうち用語集でも作ろうかな、と思っている。

 ローラースケートにはインラインのフリースタイル・スラロームという競技もあり、さらに「フリー」という用語をややこしくさせているのだが、アーティスティック・ローラースケートでフリーといえば、このフリースケーティングを指すことが多い。このフリースケーティング競技をフリースタイルと呼ぶこともある。(※アイスの「フリー」はローラースケートでは「ロング」)

 フリースケーティングでは、1日目にショート・プログラム、2日目にロング・プログラムを滑り、総合得点で最終順位を決める。

 この競技にあまり馴染みがない人のために、ここでちょっとジャンプのおさらいをしておく。

ジャンプは全部で6種類:トウループ(T)、サルコウ(S)、ループ(Lo)、フリップ(F)、ルッツ(Lz)、アクセル(A)
ジャンプの回転数の名前:1回転=シングル、2回転=ダブル、3回転=トリプル、4回転=クワッド(クワドラプル) 

 これを組み合わせて「ダブル・サルコウ(2S)」「トリプル・アクセル(3A)」のように使う。2つ以上のジャンプを次々に飛ぶものはコンビネーションジャンプと呼ばれる。

 コンビネーションジャンプの間に1回転が入ることがあるが、あれはオイラー(Euler)と呼ばれる、ジャンプの繋ぎのようなものだ。オイラーを入れると踏み切る足を変えることができる。反時計回りの場合ジャンプの着地はすべて右足だが、サルコウやフリップは左足で飛ばなければならない。オイラーはループのように右で飛ぶが、ループとは違い左で着地する。

 技術的に一番難しいのはアクセルジャンプだ。アクセルだけは前向きに飛び(残りはすべて後ろ向きから飛ぶ)、すべてのジャンプは後ろ向きに着地するため、アクセルだけ半回転多くなる。つまりトリプル・アクセルというのは、3回転半回るジャンプとなる。トリプルアクセルは日本を代表するスケーター、西木紳悟元選手の得意技だった。

 ローラースケート靴には8個の車輪とそれを支えながらジャンプにも耐える強度を持つ車軸&フレームが付いているため、アイスの靴よりかなり重い。また、床も氷より摩擦が大きい。必然的に、スピードも出にくくなり、ジャンプやスピンの難度はアイスよりも高くなる。


■女子 ショート

 1日目のショート・プログラムの結果は、イタリアのレベッカ・ターラッジ(Rebecca Tarlazzi)が1位。2位はイタリアのレティツィア・ギロルディ(Letizia Ghiroldi)。3位はスペインのアンドレア・パスクアル(Andrea Silva Pascual)。得点は1位のターラッジが78.18と、2位のギロルディの66.0から12ポイントもリードして圧倒的な強さを見せた。

↑ Rebecca Tarlazzi - Short Program - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 1位のレベッカ・ターラッジ。3回転トウ、3T+3S+2Tのコンビネーション、ダブルアクセルをバシッと決めてきた。


↑ Letizia Ghiroldi - Short Program - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 2位のレティツィア・ギロルディ。3T+2T+3S、3回転トウ、ダブルアクセルを決めた。


↑ Andrea Silva Pascual - Short Program - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 3位のアンドレア・パスクアル。3S+2T+2Sのコンビネーション、ダブルアクセル、トリプルサルコウを決めた。


 全試合の模様はこちらから。3時間。


■女子 ロング

 ロングプログラムの結果は、こちらもイタリアのレベッカ・ターラッジが109.25と、2位の98.49と10点もの差をつけた。続いてショートで3位だったスペインのアンドレア・パスクアルが追い上げて2位。3位はショートで4位だったスペインのカーラ・エスクリック。ショートで2位だったイタリアのレティツィア・ギロルディは4位という結果になった。

 総合優勝は、圧倒的な強さをみせたイタリアのレベッカ・ターラッジ。銀メダルはスペインのアンドレア・パスクアル。銅メダルはイタリアのレティツィア・ギロルディとなった。

🥇 Rebecca Tarlazzi - ITA
🥈 Andrea Silva Pascual - SPA
🥉 Letizia Ghiroldi - ITA

↑ Rebecca Tarlazzi - Free Skating - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 金メダルのレベッカ・ターラッジのロング・プログラム。ダブルアクセル、3F+2T、3T+3S、3S+2T。コンビネーションジャンプの着地がひやっとする場面もあったが、大きなミスもなく、前回のバルセロナでも金メダルを獲った女王が今回も圧倒的な強さを見せた。


↑ Andrea Silva Pascual - Free Skating - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 銀メダルのアンドレア・パスクアルのロング。3T+2S、2A+2T、3S+2T、あートリプルトウでこけた~!。彼女の力強い滑りとゲームオブスローンズの音楽がよくあっていた。


↑ Letizia Ghiroldi - Free Skating - Senior Ladies - Artistic World Championships Asuncion 2021 by sk8 one love

 ショートで2位だったものの、このロングプログラムの結果がひびいて銅メダルとなったレティツィア・ギロルディ。前回のバルセロナでは銀メダルだった。3T+3S、あー3回転フリップ回転足らないし手をついちゃった、ダブルアクセル、3回転サルコウは回り切れず、でも3T+2Loは決めてきた。


 女子ロングプログラムのトップ10、全試合はこちらから。1時間43分。


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