フィギュアのスタートについて
最近、週に1度はアイスのコンパルソリのような、アーティスティック・ローラースケートのフィギュアのレッスンに通っている。初級の間はフリースケート、ダンス、フィギュアをまんべんなく教わることができたのだが、中級に上がったらもっと専門性の高いクラスにそれぞれ入ることになった。
アーティスティック・ローラースケートのフィギュアって何?という人は「ローラースケートのフィギュア1(フォア・アウト)」を参照。
フィギュア専門のレッスンに通い始めて、まず最初に直されたのがスタートだった。スタートは、最初の頃はなかなか上手くできず、サークルを安定して1周滑るだけの十分なパワーを得られないことが多い。私はワンプッシュで1周できるし大丈夫だと自分では思っていたのだが、やはりもっと正確で安定したスタートの基礎をみっちり教わることになった。
■ルールブック
2021年のルールブックを引用すると、こんな風に書かれている。
6.3 Starts
• Starts must be made with a single push from a stationary position, without lunging, buckling, or double leaning.
• The thrusting or pushing foot must be placed no more than one (1) skate length from the long axis. The start must be made from the to-be-employed skate. Starts made from the toe stop must be penalized.
• The thrusting foot cannot move toward the long axis until the striking foot moves in the direction of the required initial edge. The thrusting skate must leave the skating surface before crossing the long axis.
• The striking skate must be placed on the long axis at the tangent point between the circles. The starting edge must be a pure edge, without flats or sub curves.
• The referee may allow a contestant to start a figure a second time without penalty. The decision to restart is at the discretion of the contestant, but the decision must be made within the first one-third (1/3) of the initial circle.
・スタートはプッシュ1回で。ランジしたりねじったりカクカクしないこと。
・プッシュする足を置く位置は、ロング・アクシス(※下の図を参照)からスケート1つ分以上離れないこと。ちゃんとそのままスタートする位置に足を置くこと。トウストップを使うと減点。
・プッシュする足は軸足がエッジに乗って動き出すまでロング・アクシスの方向へ動かさないこと。プッシュする足はロング・アクシスを超える前に地面から離れなければならない。
・軸足は円が重なりあうロング・アクシスの上に置き、スタートする時からフラットでもカーブでもなく完全にエッジに乗っていること。
・審査員はペナルティなしにスタートのやり直しを許可することができる。再スタートするかどうかは選手の裁量で決められるが、最初のサークルの1/3を滑るまでに申し出なければならない。
■フィギュアの図形
すべての円の中心を通っている横の長い直線がロング・アクシス。ちなみに、ショート・アクシスとは、下の図では縦方向となる各円の直径だ。スタート地点はこのロング・アクシスと2つの円の重なる部分の赤い線の部分になる。ロングアクシスの線とこの赤線は、実際には地面に描かれていないので注意。
■フォアのスタートのやり方
1)軸足(RFOなら右足)をスケート靴の真ん中でスタート地点をまたぐように置く。まっすぐ、ロングアクシスに対して直角に。
2)プッシュする足(フリーレッグになる足、RFOなら左足)は45度くらいに開いて軸足のスケートの後ろにぴったりとつけて置く。前輪と後輪の間に前にある軸足の踵がくる位置で。Tスタートとはいえ、T字に90度で置くよりも、45度くらいの方がプッシュしやすい。
3)体はひねらず、まっすぐ進行方向に向かって開く。手は肩より少し下の位置で自然に開く(RFOなら右12時、左8時を指す)。
4)膝を曲げて腰を落とし、エネルギーをためる。この時、体重は後ろにあるプッシュする足にかける。
5)後ろ足でプッシュしてスタート。
うちのコーチたちは、「スタートは波が後ろから前に押し寄せるように重心移動をしていく」「後ろ足で壁を作り、そこから後ろを堰き止めてパワーがすべて前進の力に行くようにスタートする」などと表現している。いずれにしても、後ろに十分な体重をかけて力強くプッシュし、軸足を前に押し出すことが大切だ。
プッシュする足は、右アウトなら左足のインサイドの2輪を使ってプッシュし、親指の付け根を最後に残すイメージで、最後に地面に触るのが左前輪になるように。そして、パワーを出すには両足の踵を船のアンカーのようにしっかりと地面に根を下ろして、踵からパワーを出すイメージでスタートする。
また、前に置く軸足は右アウトエッジなら右踵に重心を置き、右の後輪で滑るようなイメージだ(実際には4輪とも地面に触れたまま滑るが、意識をその車輪に置くイメージで)。右インサイドでのスタートなら、左踵重心で、左の後輪で滑るようなイメージになる。
滑り出したらフリーレッグはつま先までぴんと伸ばして、踵を円周上に置く。つま先は少し外側を向ける。
■バックのスタートのやり方
1)軸足(RBOなら右足)をスケート靴の真ん中で円周をまたぐように置く。バックの場合は、進行方向に向かって斜めに後ろ向きになり円周に対して45度くらいの角度で立つ。
2)体はひねらず、足を向けた正面(斜め前)に向かってまっすぐ立つ。手は肩より少し下の位置で自然に開く。まずは真横に開いておく。
2)プッシュする足(フリーレッグになる足、RBOなら左足)はつま先を軸に45度くらい開いて、踵を軸足のスケート靴から離してV字型に置く。つま先同士は2つのスケート靴がほぼくっついた位置で。この時、自然と体が円の内側に開き手の位置も前後になる。顔を進行方向(後ろ)に向け、目線は指先の後方にある円周をとらえておく。
4)膝を曲げて腰を落とし、エネルギーをためる。この時、体重は前にあるプッシュする足にかける。
5)前足でプッシュしてスタート。
プッシュする時は、フォアと同じように右アウトなら左足のインサイドの2輪でプッシュしてから親指の付け根を最後に残すイメージで、最後に地面に触るのが左前輪になるとパワーが出やすい。
また、後ろに置く軸足は右アウトエッジなら小指の付け根に重心を置き、右の前輪で滑るようなイメージだ(実際には4輪とも地面に触れたまま滑るが、意識をその車輪に置くイメージで)。右インサイドでのスタートなら、親指の付け根に重心を置いて、左の前輪で滑るようなイメージになる。
フリーレッグはプッシュの際に少し踵を円の外側にひねったねじれを真っすぐに戻し、つま先までぴんと伸ばして、踵を円周上に置く。
ツイッターでもつぶやいています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?