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帰無仮説という考え 240729

教科書にこんな問題がありました。

ある会社で自社製品を改良している。製品が改良されたか使いごごちについてアンケートをとった結果、「従来の製品Aよりも、新製品Bの方がよい」…① と答えた人は30人のうち19人であった。製品は改良されたと判断してよいだろうか。

過半数はおろか、6割超えていますからね。よくなったと言っていいんじゃないでしょうか。

探究活動やっていたりすると、このような判断を下す高校生がいるし、大人もそれで納得したりします。

いや待てよ。「A, B どちらがいいかテキトーに答えた(AかBか答える確率はどちらも2分の1)」…② として、30人に聞いて19人がBと答える確率はどのくらいなんだろう。この②の仮説を帰無仮説というそうです。どうせ棄却されて無に帰す仮説だからそう呼ぶらしい。そしていま、判断基準を0.05にします。
公正なコインを30枚投げて表の枚数を数えるとき、19枚以上表となる確率は、0.05より大きいようです。
したがって、② を否定することはできない。
よって、①を肯定することはできない。

ロナルド・フィッシャーの 紅茶の違いのわかる婦人 の問題を紹介しましょう。

花子さんはミルクティーを紅茶を先に入れたか、ミルクを先に入れたか当てることができるそうです。
あるとき、太郎さんは、紅茶を先に入れたものを4杯、ミルクを先に入れたものを4杯、合わせて8杯用意しました。無作為に並べて、花子さんに、紅茶を先に入れたものを4杯選んでください、とお願いしたら、花子さんの選んだ4つのうち3つは紅茶を先に入れたものでした。花子さんは紅茶の違いがわかる人と言ってよいでしょうか。

8杯のうち4つ選ぶ方法は $${{}_8{\rm C}_4}$$ の 70 通りです。
そのうち4つとも当たる場合の数は 1通り。
3つだけ当たる場合の数は $${{}_4{\rm C}_3\cdot {}_4{\rm C}_1}$$ で 16通り。
2つだけ当たる場合の数は $${{}_4{\rm C}_2\cdot {}_4{\rm C}_2}$$ で 36通り。
1つだけ当たる場合の数は 16通り。
4つともはずれる場合の数は 1通り。 

テキトーに選んだとしても3つ以上当たる確率は $${\dfrac{17}{70}}$$, 24%もあります。
この実験からは、花子さんは違いがわかる人であると判断することはできないかな。

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