高校生は数学で何を学ぶのか #1
共通テストの問題を眺めながら、数学の勉強はどうすればいいのか考えてみたいと思います。共通テストで高い点をとるにはどうすればよいのか、あるいは共通テストの対策を書くわけではありません。ですが、センター試験に比べれば、普段からちゃんとした勉強をしている人が共通テストの点数は取りやすいと感じています。反対に、知識・技能を追い込みで詰め込もうとするだけでは取りにくくなっていると感じています。
そこで、2024年度共通テストの問題から逆算して、数学のちゃんとした学びを考えてみたいと思います。問題等はどこかで手に入れてください。
高校でも 数 を対象に見方を深めます。まず 実数 について研究します。整数はとびとびに存在します。有理数は整数の掛け算・割り算を有限回行うことにより得られます。無理数は有限回では得られません。整数以外の数は、2つの隣り合う整数の間にあります。例えば、$${\frac{5}{3}}$$ は1と2の間にありますが、その間を3等分することによって等分点の上に乗ります。はした の部分を3倍の拡大ルーペでみたのです。10倍のルーペで見ると10等分点の6つめと7つめの間にあります。その間をまた10倍のルーペで見ると同じことが起こっています。無限回の操作があるようですが、それは繰り返しがあります。ルーペの倍率によるのですが、繰り返しになるか、有限回で終わります。無理数はそうはいきません。長さを表すためには有理数では足りなくて、実数が必要になります。実数を感じてもらうために、整数部分、小数部分を調べましょう という問題があります。
$${2\sqrt{13}}$$ は $${\sqrt{52}}$$ です。
$${7=\sqrt{49}}$$, $${8=\sqrt{64}}$$ですから、$${2\sqrt{13}}$$ は隣り合う2つの整数7と8の間にあります。…①
$${a=2\sqrt{13}-7}$$, $${b=\dfrac{1}{a}}$$ とおきます。
$${b}$$ の分母を有理化してみましょう。分母分子に$${2\sqrt{13}+7}$$をかけるのですが、分母$${(2\sqrt{13}-7)(2\sqrt{13}+7)=52-49}$$ には①の考察が役立ちます。$${b=\dfrac{7+2\sqrt{13}}{3}}$$
$${a^2-9b^2}$$ を求めてほしいといわれています。$${a^2-9b^2=(a+3b)(a-3b)}$$ を使いたくなりませんか? $${a=2\sqrt{13}-7}$$, $${3b=2\sqrt{13}+7}$$ ですし。
学びの中で、何をさせようとしているのだろう、結果はどんな意味があるのだろう、と考えてみるといいと思います。意味のない計算をさせることはほとんどありません。
$${7<2\sqrt{13}<8}$$ より $${\dfrac{7}{2}<\sqrt{13}<4}$$です。太郎さんと花子さんは、小数点以下をもう少し詳しく調べてみたいようです。ルーペで拡大する方法もありますが、違う見方をしてみましょう。
$${7\lt 2\sqrt{13}\lt 8}$$, $${3b=2\sqrt{13}+7}$$ から $${\dfrac{14}{3}\lt b\lt 5}$$ です。
逆数を考えると、$${\dfrac{1}{5}\lt a \lt \dfrac{3}{14}}$$
つまり、$${\dfrac{1}{5}\lt 2\sqrt{13}-7 \lt \dfrac{3}{14}}$$ すなわち、$${\dfrac{1}{10}\lt \sqrt{13}-\dfrac{7}{2}\lt \dfrac{3}{28}}$$
$${\dfrac{3}{28}\lt \dfrac{11}{100}}$$ ですから、$${3.6\lt \sqrt{13}\lt 3.61}$$ であることがわかります。
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