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魔王城でおやすみアニメ版の所感

2020/12/23の虚行通信です。見終わりました。

今回は魔王城でおやすみアニメ版全12話を見終わった所感を書き記しておこうと思います。

一応前回書いた記事のことについて触れることもあるやもしれないので是非読んでみてくださいまし。



・構成について

まずアニメ全体の構成について。

これは見事圧巻の出来に仕上がっています。

原作の漫画では、姫の安眠への探求や季節もののイベント等を挟みつつ、徐々に本筋である魔族と人間の争いの事だったり、姫と魔族の接し方の変化であったりを描いています。

が、それらを丁寧にやるには、ワンクールというのはあまりに短すぎます。

何より、序盤の姫が魔王城で大暴れするパートは、様々な魔物やアイテムの登場により飽きさせないつくりになってはいるものの「ワンパターン」と言われてしまえばそれまでです。

そのため、アニメ版では本筋のストーリーの部分にクローズアップしています。

細かいエピソードをカットし、キャラ同士の関りや描写をスキップすることで、一つのアニメとして単調なワンパターンな内容にならないように工夫されています。

この物語の組み立ては賛否あると思いますが、個人的には大アリです。

むしろこの構成の方が魔王城でおやすみの持つ、繰り返しのワンパターンギャグではない物語としての面白さがしっかりと描写されてよいのではないでしょうか。


しかしこの構成になったことにより、描写不足になってしまったキャラクターもおり、大手を振って最高の出来とは言い難いです。

特に、私の一番好きなキャラである「あくましゅうどうし」は、原作では姫の無自覚で思わせぶりな行動に振り回され、姫に焦がれてしまうピュアで年甲斐の無いおじいちゃんであるはずが、

アニメでは姫を見守る優しいお兄さんのような眼差しに終始してしまっており、彼の持つ魅力が大きく削がれてしまっています。

同じくメインキャラの十傑衆の一人であるポセイドンとハデスの不器用な兄妹愛についてのエピソードもカットされましたし、そもそもポセイドンと姫は直接対峙するエピソードすら削られています。


それとさっきゅんについて、彼女がアホキャラなのは間違いありませんが仲間であるとげちゃん達を誘惑したり、でびあくまにアプローチを仕掛けたりするほど頭は悪くなかったはずです。

原作では、彼女の淫魔としての実力については特に描写が無かったので仕方ないのかもしれませんが、なんというかちょっと見てて痛かったので、さっきゅんが可愛そうだなあと思ってしまいました。

さっきゅんは姫の邪知暴虐な振る舞いもなんだかんだ言って許しちゃうくらい優しくて、お金にとことん目が無い淫魔という印象だったので…(まあ原作改変とかではないので、文句をつけるつもりではなくてあくまで一ファンの感想としてお受け取りくださいませ)


この作品は本来非常にオタク純度の高い作品であり、特にカップリング萌えの強度の高さはドロヘドロや月刊少女野崎君に匹敵すると言われています(言われていません)

が、アニメではきらら作品のような姫に可愛さを求める構図となってしまっており、本筋のストーリーを追うためとはいえ非常に残念でした。

もちろん、アニメになっただけで凄いことであることは重々承知です。
ただ欲を言えば2クールは欲しかったですね。でもまあ同じ系統(と言っていいのかは分かりませんが)のギャグマンガである鬼灯の冷徹も最初は一期だけでしたので、二期への希望を持つことにします。

原作は姫が可愛いのはもちろんの事、魔族のピュアさや人間関係(魔物関係?)の不器用さが非常に魅力的な作品になっておりますので是非原作コミックスをお買い上げいただけると幸いです。


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・ゲーム的な演出について

そしてもう一つ、アニメと原作で大きく違う点が「クエスト」の概念です。

アニメでは姫の目的等を「クエスト」という形で提示し、目的が達成されれば早見沙織の声でお褒めの言葉をいただける。という単純明快なシステムを導入しています。

このシステムの導入によって、この作品の持つRPG的雰囲気の強調につながっており、かつ序盤の姫の安眠模索劇場のワンパターン化を「クエスト」という型に当てはめることにより様式美化し、昇華することに成功していると個人的には感じています。

このクエストのリザルト画面のような要素は一応原作にもあるっちゃあるんですが、ちょっとした小ネタもしくはお遊び要素的な感じでもっと簡素ですし、そもそも三巻くらいまでしか存在しない概念で、いつの間にか自然消滅してました。

消えたことについては、内容が姫の安眠グッズDIYから魔物と人間の争いやキャラクター同士の関係性の掘り下げにシフトチェンジしていったから、という点が非常に大きいと思います。

その点今回のアニメ化では、先ほど記述した通り本筋のストーリー部分を追いかけているため特に差しさわりはありませんし、アニメオリジナルの要素ながら非常に楽しんで見ることができました。

特に魔族側の発注画面とリザルト画面の物々しさが、姫側と対照的で面白かったです。



総評

とても面白かったです。

素晴らしい原作と、その原作を1クールのアニメで描き切ったスタッフの皆さんの実力には感服せざるを得ません。

そして、二期が放送されることになった折にはですね、是非魔物達のキャラクターにクローズアップして物語を展開していただけるとありがたいです。

あと、三話くらいまで見てワンパターンなギャグものだと思って切った皆様、本筋のストーリーはしっかりしているのでもう少し見ていただけると幸いです。

そんなこんなで、アニメ魔王城でおやすみはAmazonprimeやU-NEXTで見放題なので是非視聴してみてくださいね。それでは。



オマケ


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