TOKYO MER 第6話レビュー 謎解きミステリーとチームの成長、父と子の感動回

遅ればせながら第6話レビューです。

冒頭から、悪役の白金大臣と厚生労働省の久我山局長が飛ばしてます。ここまで憎たらしく誰からも嫌われる名演技、見ていて気持ちがよいです。

今回は、MERのチームそれぞれの個人的判断力が問われる回、そして縁の下の力持ち、冬木先生へもスポットが当たる回でした。第6話にしてスケールの大きさを求めるにとどまらず、足場となる人々に着目し照らしていく展開。まさに医療従事者への感謝というテーマを丁寧に描いた感動回でした。

今回は、山岳で遭難した小学生たちを救助に行くお話し。

しかし、現場についてみると小学生たちが見当たりません。どうやら、散りぢりになってしまったよう。子供だけで救助を求めに行くとかありえないし。ん?と、ここである種の既視感に襲われました。

あ、わかりました。世界仰天ニュース?はたまた、何だコレミステリー?奇跡体験アンビリバボー?などの再現ドラマを見ているような感覚です。今回は、謎解き要素もあるワクワク感が新鮮なストーリーでした。それにしても、いったい、小学生たちに何が起こったのか?

「チームをばらばらにしてはいけない」という音羽の意見を却下し、喜多見チーフはチームを3つに分けてしまいます。冒頭で音羽に悪役(笑)が言ったように、MERは喜多見がすべて。チームは、喜多見の判断がないと行動できないと音羽もまだ思っていたのですが。

山中で倒れた小学生を発見し、搬送が間に合わないと緊急オペを始める比奈先生。迅速な判断と的確な行動にはもう、迷いはありません。患者が急変して心室細動を起こしても冷静に対応。「がんばれ!」の声のかけ方はまるで小さな喜多見チーフ。夏梅さんも徳丸君も比奈先生を疑うことなく、サポートに徹します。ほんとにかっこいい。

徳丸君も、夏梅さんに「遊びじゃないんだからね」と背負っていた大荷物をたしなめられていましたが、 ただのワクワク少年ではありませんでした。

倒れている大勢の小学生の手当てで、点滴を使い果たしてしまった喜多見チーフと冬木先生を救ったのは、徳丸君でした。実は背負っていたのはドローンだったのです。ドローンの抱える箱には点滴がたくさん入っていました。「徳丸く~~ん!」いいねを1億回くらい押しました。やはり、徳丸君はMERに選ばれるだけある医療機器と操作の若きスペシャリストなのです。

喜多見チーフの思惑通り、彼らはもうすでに自分たちで的確に行動するまでの域に達していました。「状況によっては、現場の判断を委ねます。俺の判断を聞く必要はありません。それぞれが自分にできるベストを尽くして、個々で判断してください。」の喜多見チーフの言葉には全信頼がもう既にあるのでした。これには音羽も完敗ですね。

「命を救うのは、医者や看護師だけじゃないですよ」という徳丸君の言葉も胸を打ちました。この言葉は徳丸君と同時に、このあとの冬木先生のエピソードにもつながります。

MERのパパとも言われ、包容力溢れる存在の冬木先生ですが、妻と息子とは別居中と実は家庭はうまく行っていませんでした。離れて暮らしていても、息子には尊敬されたい。「パパはMERの副チーフなんだ」と嘘をついてパパのプライドを守っていました。

今回、その小学生の息子も遭難に巻き込まれていました。実はミステリーの答えは、スズメバチに襲われた小学生たちがパニックになりばらばらに逃げてしまったというものでした。息子はかろうじて発見され、パパの威厳を守りかっこよく息子を助けたと思われた冬木先生ですが、冬木親子はハチ毒のアナフィキラシーショックに倒れてしまいます。意識失う寸前に助けに来たのは、やはり喜多見チーフ。冬木先生のぼやける目に写る喜多見チーフはかっこよかったですね。

しかし、冬木先生も負けていません。MERカーに息子を運んだあとの大活躍は感動的。他のメンバーはまだ山中にいて、喜多見チーフと冬木先生の2人だけのオペがはじまりますが、チーフは両手を使いながらのオペ。詳細な判断を見逃してしまいます。そこで、患者が心タンポナーデを起こしていることに気付いたのは冬木先生でした。2人ではこれ以上オペは無理。万事休すのところへ現れたのは、音羽先生や比奈先生をはじめとするチームメンバー。以前はチームが喜多見チーフに得ていた安堵感を、今度は喜多見チーフがチームに対して感じているというのはなんだかエモいです。

オペ室の患者さんを守るのは、麻酔科医の仕事なんですね。いつも冬木先生がオペ室全体や患者さんの身体に気を使ってくれているから、花形の医師たちがオペに集中できる。最後は父の顔になり、チームに感謝を伝える冬木先生の涙に感動。そして存在感の大きさをみんなが認定。副チーフの誕生です。

涼香ちゃんが音羽先生に言った「だれにでも、できることがある。」というのは、喜多見兄妹の共通概念なのでしょう。

MERチームの活躍と成長に、組織の中のいる自分へと思いをめぐらせてしまいます。もし上司なら、これからは喜多見のように、部下を信頼してたまには判断を委ねてみようかと思うかもしれません。また、自分が部下であるならば、「自分にできる一番ベストなこと」を探して仕事に反映しようとポジティブに考えるかもしれません。TOKYO MERは、娯楽を超えて人にたくさんヒントや勇気を与えてくれるドラマだなあと、改めて思います。

さて、次回から新章突入。喜多見の空白の過去に焦点が当たります。めちゃめちゃ楽しみ・・・。

喜多見を監視する黒塗りの車は、久我山局長の差し金ではない別の存在を示唆しています。のんきに「気持ちいいよねー。」とワイルドに上裸で洗車している場合ではありません。誰かに盗撮されているかもしれませんから・・・。(その写真をください)

「誰に監視されているんですか、喜多見チーフ・・・」と遠い目をしてる音羽先生も、ちゃっかりと喜多見を監視していました。

空白の一年が明かされることで、超人・喜多見チーフの弱点や人間性にフォーカスし、ますます、萌えてしまいそうで怖い。そして、喜多見の妹だからという名目で涼香に近づく音羽先生の恋する顔も、見てみたい。楽しみと期待は膨らむばかりです。

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