レンアイ漫画家第8話レビュー 変わることを恐れないと決めた恋愛スペック最強の童貞少女漫画家が、世界で一番イケメンだった説

あれを「キュン死に」っていうのか。
あいこと刈部さんを第一話からずっと見守り続けてきてよかった。ドキドキしながら涙を流して応援し続けてきてよかった。がんばったね、ありがとうねって、キュンの神の祝福を受けた気分だ。まあ、あのキスの瞬間、爆発して死んだんですけど。

レンアイ漫画家 第9話予告

強引なキスっていうのは、恋愛ドラマでは欠かせないもの。まあ定番ってことだ。そういえば、今期ドラマでも「恋はDeepに」で綾野剛さんが石原さとみさんにしたキス、あれもやばかった。でも、ごめんなさい。それ以上に、刈部さんのキスの破壊力はすごかった。ドラマのシーズンごとに「THE KISS AWARD」(テレビジョンドラマアワード的な)なんてものがあれば、間違いなくグランプリ。だって、綾野さんのキャラはあの流れでそういうキスしたところでまあ納得いった。でも、刈部さんって。陰キャだよ。引きこもりだよ。バスも乗れないくらい社会を知らないんだよ。これまでの人生で人と交わるの編集のおじさんくらいだったんだよ・・・まさか。

そう、私たちは(てか私は)刈部さんが「レンアイ漫画家」だってことを忘れてた。レンアイ漫画家なのだから、女子がキュンとなるような展開や相手役の男性の受け方、攻め方などは習得ずみ(30巻も出すくらいだからそれは幅広く)。ストーリーを面白くするためのプロットは、じっくりと紙に書いて整理する派。女性と交流したことがなくても、女性読者の声を長年聴き続けている敏腕編集者・向後さんから、一番トレンドな女子のキュンを情報収集することが可能。

健康のために体をストイックに鍛えているので、あれぐらいのあいことの距離は、強引に飛び越えてくる。言葉にしたいのに伝わらなくて動揺するほど陰キャだから、たびたびああいう常軌を逸した行動に出てしまう。恐るべきポテンシャル。恋愛スペック最強の童貞にして最強の猛者。

「恋愛を解禁しようと思う。・・・相手は君だ。」

くっ…とかハァハァ…とか早鐘の鼓動を打って、見てるこっちまで窒息しそうになりながらも、一生懸命に言葉を発する刈部さん。もう…それ見てるだけでいとしくて、それでよかったのに。

あっ、なんかあるかも。ドキドキ。いや、あるとしても、次の瞬間あいこを抱き締めるくらいにとどまると思ってた。あいこを抱き締めるだけでじゅうぶんバズっていたんだが。

想像をはるかに超えた、重力と破壊力のあるキスだった。あのキスの意味は、おそらく、それほどまでに「君が好きだ」ってことだ。刈部さんはどうしようもなく不器用な人だけど、あいこを好きでたまらない。もしかしたら、あいこよりずっとずっと好きかもしれない。

時が止まった瞬間。というドラマの演出も素晴らしかった。

今までの挙動不審な刈部さんの行動を払拭するかのような、夢のようにかっこいいキスだった。ダメ男ホイホイのあいこが、初めてされたであろう、最高のかっこいい男のキスだった。誰でも一生に一回はされたい、夢のようなキス。・・・いいなあ、いいなあ、あいこ!!

私、この数日で、昔のビデオならもうテープ伸びてるよってくらい何度も何度も動画をみました。あーーー、動画配信ってありがたいな。

刈部さんを超えて、鈴木亮平って俳優さんがほんとにやばい。これまで培ってきたパワフルな演技、対応力の感覚に加え、刈部さんの気持ちになって動揺したり、困ったり、告白しながらもう泣きそうになってたり、嘘じゃなく、細かく変化する心情からあの表情が出る。刈部さんと亮平さん、ぜんぜん違う人なのに!亮平さんが刈部さんになって、刈部さんの行動が亮平さんから出ることで、愛の表現になるとき、間違いなく、亮平さんにしか表現しえないエロスがかもし出されちゃう。あーー、ほんと刈部さんが亮平さんで良かった。もう、一生ついていきます。

・・・なんか、ずっとキスのことばっかり書いてるな。


8話はほんとに面白かった。

向後さんの状況説明は非常にわかりやすくて気持ちよい。あと、懐かしいおやつをあいこにもらって、超うれしそうだった。可憐さんも、まりあ様とお近づきになれて恋が仕事のエネルギーになってるとこ良かったし、早瀬はスト・・いや見守り隊とっても楽しそう。(仕事はいつ行ってるのか)現場への機動力はSP並み?にすごい。天職見つけてよかった、よかった。サブキャラが生き生きとしてるドラマは、だいたいはまる。あとはニカちゃんとゆなちゃんが仲良しでいて欲しいという願い。

そして、そんなサブキャラの中で嬉しかったのは、やっぱり美波とレンのエピソード。

子供は母親を欲しがるもの。それも周りの勝手な思い込みだった。レンは想像以上に純に似ていたというオチ。清々しい演出だなあ。まさに令和の子供。まおちゃんにキスされた(あっ伏線だったのか、やられた!)ときのレンくんの顔。かわいすぎる。生きてるだけでかわいすぎる。

母子家庭や父子家庭を描いたドラマにありがちなお涙ストーリーがあったら、正直引いちゃってたかもしれない。レンアイ漫画家のそういうポップさが本当に好き。

そして、今回美波すら、いとしいキャラになった。美波がフランスから帰国したのは、純のことを聞いたことも理由なのだろうが、フランスでなーんか、嫌なことがあったんだろうな。清ちゃんとレンと暮らすのもいいかなあ~なんて言ってたけど、すぐにまたどこかへ行っちゃうんだろう。レンが意外にも自分に執着していなかったことには、少なからずショックだったものの、「まあ、いいか!」となれるところが、彼女のよさ。青春時代の美波も、奔放で明るく、清一郎をいつも振り回してたもん、そこが刈部さん、かわいかったんだろうな。

何か聞くたび、「どうかなあ~」と答えるのは、答えを持っていないから。そのときの気分で生きていくという、彼女らしい口癖。もしかしたら損することも多いけど、自由って言う意味で、彼女は幸せとも言えるか。

刈部さんは、そんなダメダメな美波も受け止められる優しい人だ。傷つけられてトラウマになっても、好きに変わりはなかったと気付いた。
「君には、ダメだと判っていても惹かれてしまう魅力がある。ほうっておけない。だから、君には俺がいなくても大丈夫だ。」
大切な人を優しく慈しむような顔で、言えた。(あいこには挙動不審にしか話せないのに)それを聞いて涙する美波。ほんとにいいシーンだった。

刈部さんが、美波を嫌いじゃなくて良かった。あの瞬間、美波のことは、私も全部許せた。そこがとても愛のあるドラマなんですよね。嫌な人がいない、それとても大事。きっとこれからひと波乱あるんだろうけど、それもまた、許して愛せる展開になるんだろうと思う。

8話に来て、刈部さんが、どんどんほぐれてきたのも感無量。

「俺はずっと、恋愛できない人間だと思い込んでいた。だが本当は、純と美波をいいわけに、そう思い込んでいただけだった。」
「俺の目を覚ましてくれたのは・・・」
そう気付いた刈部さんの姿、心から感動した。

人は、「思い込む」ことで人生を作る。

自分はこうなりたい。あるいは、自分にはできない。思い込みは、味方やともだちにもなるけれど、ときに敵になり、自分を攻撃することもある。

「レンアイ漫画家」は、一人の男が思い込みで作り上げてきた固い人生の壁を壊していく勇気の物語だと思う。変わることを恐れずに、自分に立ち向おうとする人が一番強い。それを教えてくれた、もっとも愛するひとが傍らにいれば、なおさら。


次回は、いよいよ第9話。

つきあってる?のか?・・・と理解に苦しむという二人の謎行動に萌えるんだろうな。心不全にならんだろうか。(キスの第2弾の投下があるのかもしれんしな・・・)。また、それと同時に見たいのは、苦しみながらも乗り越える刈部さんの姿だ。苦しいけど、きっちり目を見開いて見よう。

刈部さんがよく言う「対等」という言葉がある。彼は人気漫画家ではあるが、世間から見ると素性を隠して人を恐れながら生きている。その姿は、実は全く世間からは対等じゃない。彼の素性が世間に明かされて、姿をさらすようになることは、彼にとっては望まずつらい事のようだが、本当のところは、どうかということだ。彼は、ほんとうは、誰よりも自分らしく生きることをずっと願っていたのではないだろうか。それをあいこが救ってくれたのだから、きっと大丈夫だ。

それから、もうひとつ、ずっと引っかかっていることがある。

私は原作を読んでいないので勝手に妄想するのだけど、刈部さんは、あいこの姿を昔から知っていたはずだ。回想シーンで、「5回告白の子か・・・」と高校生のあいこの姿を見てつぶやくシーンがある。また、第1話の冒頭で、「見つかるはずがないと思っていた。」とナレーションが入り、あいこをモデルに漫画を描くという描写がある。

つまり、最初から、「銀河天使」はあいこをモデルにつくられた漫画だったのではないか?

もしかすると、昔、失恋で傷心の清一郎を救ってくれたのは、何度も恋に立ち向かい撃沈していくあいこの姿だったのでは。何かのきっかけで、そんなあいこのような女の子が泣いたり笑ったりしながら自由に恋愛する、という姿を自分の理想を投影して、応援のために描き始めたのではないか。それだけで俺はいい、恋なんてもう充分。とそんな気持ちで。

勝手な考察。考えすぎか?でも、そんなどんでん返しが待っていたら、いいのになあ!では、今週も刈部さんとあいこと、レンくんのために生きていきます。



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