49-52_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ

部屋に戻って来た私は、ずきずきと痛くなって来た頭に深いため息をつきながら、両手で顔を埋めた。

まだ1日の始まりである朝だったのに、私は何日も徹夜したように疲れていた。

どういうわけか分からないが、男主人公は私を裏切って、女主人公を連れて来た。

私はこのまま脱出できないまま、ノーマルモードに押し流され、悪女になって惨めに死にたくなかった。

しかし、だからと言っていつまでも気を落とすわけにはいかなかった。

幸いにもゲーム通り、女主人公が成人式に現れたわけじゃ無い。

「まだ5日残ってるよ」

つまり、脱出の機会はまだあるということ。

99%だよ、100%にして、愛してるという告白だけ聞けばいい。

なんであれそれだけ成し遂げればいいことだ・・

「あいつに会わなきゃ・・・」

そう考えている時、執事が部屋にやってきた。

競売で最初に出したエメラレルドが売れた収益が、白うさぎの商会を通じて収益金が届いたと言った。

これでイクリスの好感度を確認することができる・・。

そう思っていると、執事は2人の騎士を紹介した。

当分の間、家紋内の一員でない部外者と私との接触を禁じる命令が出され、公爵が私に護衛騎士を配置したらしい。

接触禁止はイクリスも含まれていた。

彼の尋問が終わるまで。

そうして1日を無駄にした翌日、庭を散歩するために部屋の外に出た。

騎士たちを言いくるめて一人で外に出ることができた。

部屋に閉じこもっている時より、気分が良くなった。

たぶんイクリスは地下に閉じ込められているのだろう。

静かな森の道にに沿ってどれくらい歩いたのだろうか、物思いにふけっていた私は向こうから歩いてくる人に気づかなかった。

「こんにちは、公女様」

ぎこちない顔だったが、相変わらず無害で優しい顔で挨拶し、女が私を「公女様」と呼んだ。

ノーマルモードの初期にペネロペを読んだ時と同じ呼称に、私は険悪な悪口を飲み込んだ。

女主人公だった。

「おはよう」

私は仕方なしに口を開き、こっそりあたりを見回した。

静かな森の道には私と彼女の二人きりだった。

「イクリスにあって来たの?」

「あ、はい、はい」

「まだ試験が終わってないと聞いたけど」

私の言葉に困惑のあまり目をしかめた。

そして彼女の答えを聞いて、イクリスが閉じ込められているところがわかった。

思わぬ収穫だった。

そして、イヴォンヌの顔に視線を向けた。

「痛そう」

「・・・・え?」

「傷跡」

正確には、額の上、ガーゼで隠れた傷に。

刹那の瞬間、女がかすかに身をすくめた。

私はそれ以外に彼女になんの用件もなかったので、そのまま通り過ぎようとした瞬間、いきなり手首を掴まれた。

「何?」

「申し訳ありません」

大きな目の中に大きな雫をいっぱいためたまま、私を見上げていた。

攻略対象者たちがどうしてそんなに目がないのかがわかるほど、弱々しく哀れな姿だった。

「何が申し訳ないの?」

「私が不本意ながら公女様を傷つけたようで、罪悪感を感じました。本当に、本当にごめんなさい」

「イヴォンヌだっけ?

 なんの目的でここに来たのかは私とは関係ない」

「はい・・・・?」

「大丈夫だからきにするな。正確には私をただいない人扱いしろという話だ。

 わかった?わかったならほっといてくれ」

女に捕まった手首が氷のように冷たく感じられた。

私の恐怖によるものなのか、それともレイラの奇妙な力なのか・・。

悪寒がしたが、私はわざとそれを示さずに手首を抜き取って、その場を去りたかったが、彼女は簡単に話してくれなかった。

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