84-86_悪役のエンディングは死のみ ネタバレ
ヴィンター・ベルダンディは日が暮れることになってようやく路地に入った。
一日中、全国津々浦々歩き回ったせいで体が疲れているようだった。
それでも彼は休めなかった。
集めた文書と情報を有用なものを分類し、整理し、古代文字を解析しなければならなかった。古代レイラに打撃を与えるのは古代魔法だけ。
しかし、激しい戦争の末、古代魔法使いは命脈が絶たれ、彼らが使った魔法は死蔵された状態だった。しかも長い間、息を殺したまま力を育ててきたレイラに対敵する単純な力、それ以上が必要だった。
ヴィンターは全国を回りながら古文書を集めていた。
真実の鏡を作り直すために。
一番奥深く陰気な場所にある彼の商会は、すでに暗くなっていた。
ドアノブを握って静かに呪文を唱えるとロックが外れた。
上部のドアは彼が指定した依頼人を除いては誰も開けることができない魔法がかけられていた。
一歩中に踏み入れた頃、彼はぎょっと歩みを止め、鋭い視線でどこかを睨みつけた。
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